2011-01-01から1年間の記事一覧

チェスキー・クルムロフ

[エッセイ 309] チェスキー・クルムロフ 川は北に向かって、Sの字を縦に連ねたかたちで蛇行を繰り返している。これを陸地の形でみると、横に張り出した根元のくびれた半島が、交互に現れてくるように見える。城は、その一番北側、東に向かって張り出した…

梅の収穫

[風を感じ、ときを想う日記](447)6/25 梅の収穫 留守にした一週間の間に、わが家の梅はすっかり色づいていた。ジャムにするにはちょうどいい熟れ具合だ。時差ぼけのさめやらぬ昨日の午後、脚立に上がり、さらには木に登って全量を収穫した。 測って…

中欧の旅

[風を感じ、ときを想う日記](446)6/23 中欧の旅 中央ヨーロッパ4カ国を巡るツアーに参加した。旅程は次のとおり。 *時間はいずれも現地時間。 *日本との時差:4カ国とも8時間。但し、サマータイム中につき、この季節の時差は7時間。 *現地で…

シイタケ栽培

[エッセイ 308] シイタケ栽培 知り合いから、シイタケの栽培キットをいただいた。一般には、“菌床”と呼ばれているものである。以前、菌を埋め込んだ“ホダ木”をもらって育てたことはあるが、こんな人工的なものは初めてである。 菌床とは、広葉樹の材木チ…

曇天下のゴルフ

[風を感じ、ときを想う日記](445)6/13 曇天下のゴルフ 前夜からの雨音は、夜明けとともに鴬の声に代わった。この日は結局、昼間は曇り時々薄日、夜になってまた雨という空模様だった。昨日の昼間だけ、神様が私たちのゴルフのために雲を追い払って…

ミニ八重洲会

[風を感じ、ときを想う日記](444)6/10 ミニ八重洲会」 4月下旬、私の入社のころの同僚が集って、八重洲会という名のパーティーが開かれた。東京・八重洲は、そのころ本社と主要営業部門が置かれていた。八重洲会という名前は、その所在地にちなん…

かむろ会

[エッセイ 307] かむろ会 6月最初の日曜日、“東京かむろ会”という同郷人の集まりにゲストとして参加した。東京から川一つ隔てた川崎の、駅ビルのホールがその舞台となった。例年なら5~60名は下らないというが、震災がらみの自粛ムードのあおりを受け…

笹かまぼこ

風を感じ、ときを想う日記(443)6/5 笹かまぼこ 昨日、かつて一緒に仕事をした仲間5人が、上野の不忍池を望む場所で会食をした。仙台在住の一人が所用で上京したのを機会に席を設けたものだ。あの3月11日以降、しばらくの間連絡がつかずやきもき…

死に体

風を感じ、ときを想う日記(442)6/5 死に体 あの茶番劇を見ていて、すぐ“死に体”という言葉を思い起こした。わが家の辞書によると、死に体とは、「相撲で、相手に攻められて体勢が崩れてしまい、もう逆転しうる可能性が少しもないような、体の状態」…

優先席

[エッセイ 306] 優先席 先日の夕方、新宿から埼京線の始発に乗った。座席はほとんど埋まっていたが、優先席は3席すべてが空いていた。私はその一番奥に座った。隣には若い女性が来た。彼女は、座ったとたん脚を組み、携帯電話をいじり始めた。次の池袋か…

ふる里のかおり

[風を感じ、ときを想う日記](441)5/23 ふる里のかおり 先日の土曜日、ふる里の在京町人会が東京・麹町で開かれた。私のふる里は、いまは合併して一つの町になっているが、かつては四つの町が並立していた。そんなことから、在京町人会はいまも合併…

バス旅行

[風を感じ、ときを想う日記](440)5/18 バス旅行 会社OB会で、毎年日帰りの小旅行に出かけている。今年は、甲府周辺まで貸切りバスで周遊することになった。 しかし、この日は中央高速の集中工事日に当たっていた。新宿を出ると、大渋滞の中央道を避…

茶葉の放射性物質

[風を感じ、ときを想う日記](439)5/15 茶葉の放射性物質 神奈川県西部の足柄地方で産出された茶葉から、規制値の500を超える550~570ベクレルの放射性セシウムが検出されたそうだ。13日現在、茶葉を生産する同県内16市町村のうち、6市町村で規…

藤のすだれ

[風を感じ、ときを想う日記](438)5/9 藤のすだれ 歌手・鳥羽一郎さんが歌う「兄弟船」の三番に、♪雪の簾をくぐって進む♪という一節がある。母親に少しでも楽をさせようと、仲のいい兄弟が吹雪を突いて沖の漁場へ向かう。そんな簾のある光景が陸の上…

愛飲飲料の欠品

[風を感じ、ときを想う日記](437)5/5 愛飲飲料の欠品 今日、ホームコースの「こいのぼり杯」という月例競技会に参加した。今回は、いつもより参加者が少なかったようだ。おそらく、今日が子供の日ということで、家族サービス向きのところに揃って出…

ロイヤルウエディング

[風を感じ、ときを想う日記](436)4/30 ロイヤルウエディング 昨夜テレビ中継されたウイリアム王子とキャサリン・ミドルトンさんの結婚式は、資金を惜しげもなく注ぎ込んで創作されたハリウッド映画のようだった。チャールズ皇太子とダイアナ元妃の…

サクラの名札

[風を感じ、ときを想う日記](435)4/27 サクラの名札 以前住んでいた住宅公団の団地は、私のお気に入り散歩コースの一つである。空間が大きく広がっており、木や花がたくさんあることが私を引き付ける魅力になっている。もちろん、わが家の起点とな…

八重洲というふる里

[風を感じ、ときを想う日記](434)4/25 八重洲というふる里 私の社会人としての第一歩は、東京の八重洲から踏み出した。入社した会社が東京駅の八重洲南口前にあったのだ。まがりなりにも親から独立し、経済的にもちょっぴり楽になった私の青春は、…

愛犬の里帰り

[エッセイ 305] 愛犬の里帰り むかし、キセル乗車という言葉をよく耳にした。乗車駅と降車駅それぞれに有効な乗車券をもち、中間部分は無札のままタダ乗りしようというものだ。キセルは、雁首と吸口が高価な真鍮製で中間部分はただの竹でできている。不正…

ツクシとスギナ

[風を感じ、ときを想う日記](433)4/18 ツクシとスギナ 老夫婦が、川の土手で仲良くツクシを摘んでいる。まわりにはスギナが勢いよく伸びはじめており、ツクシたちは少々押されぎみである。それでも、あのユニークな形はしっかりと維持し、みずみず…

自粛ムードの中の同期会

[風を感じ、ときを想う日記](432)4/13 自粛ムードの中の同期会 春の集いでは、常連メンバー6人のうちの2人が、健康上の理由で参加できなかった。代わって、同期の女性3人が特別に加わった。数カ月前、メンバーのうちの2人と、これら3人の女性…

自粛という名の二次災害

[エッセイ 304] 自粛という名の二次災害 ホームの壁面は、いつも観光地や催しものの華やかな広告ポスターで埋め尽くされている。私たちは、それによって季節の移り変わりを知り、心の奥底からきらめくものをほとばしり出させる。ところが、あれ以来けばけ…

新学期

[風を感じ、ときを想う日記](431)4/5 新学期 震災のことに意識を奪われているうちに、月どころか年度まで替わっていた。わが町内会では、ブロックごとに班を区切っているが、年度替りとともにわが家に班長の当番が回ってきた。班長は町内会の役員を…

折り込みチラシ

[風を感じ、ときを想う日記](430)4/2 折り込みチラシ 今日の朝刊に、周辺スーパー各店のチラシが一斉に折り込まれた。大手スーパー1社だけは3月下旬から入れていたが、その他の中堅店にとっては大震災以降初めてのことである。 いずれのチラシにも…

ズーラシア

[風を感じ、ときを想う日記](429)3/31 ズーラシア 開園して、もう12年が経つ。当初、展示が斬新で、三大珍獣のオカピがいることなども手伝って結構評判となった。わが家でも、早いうちに行ってみようといっていたが、いつの間にか熱も冷めすっか…

計画停電と同期会

[風を感じ、ときを想う日記](428)3/29 計画停電と同期会 来月の11日には、箱根で1泊2日の同期会を予定している。宿泊施設は、いつも利用させてもらっているある健康保険組合の保養所である。しかし、あれ以来、大震災のことが心に引っかかった…

伊予かんマーマレード

[エッセイ 303] 伊予かんマーマレード わが家には、長い間使い続けてきた寸胴型のホーロー鍋がある。ただ、その底には黒く焦げ付いた跡があり、ここ1年ばかり取り除くことができないままになっていた。その焦げ付きがあっという間にはがれ、せっかく作っ…

悪夢の助演者・他人事

[風を感じ、ときを想う日記](427)3/22 悪夢の助演者・他人事 私たちは、大震災の被災者救援と復興に向けて、みんなで一丸となって取り組まなければならない。ところが、原発事故の行方が予断を許さないため、一般国民の目はどうしてもそちらの方に…

悪夢の助演者・買いだめ

[風を感じ、ときを想う日記](426)3/20 悪夢の助演者・買いだめ ガソリンスタンドには、何百メートルもの給油待ちの車が列を作っている。スーパーの棚からは、パンや米、あるいはレトルト食品が姿を消した。もちろん、乾電池のような非常時に必要な…

悪夢の助演者・計画停電

[風を感じ、ときを想う日記](425)3/19 悪夢の助演者・計画停電 一昨日の木曜日は、午後4時50分から停電することになっていた。やむなく、夕食は4時半から始めることにした。食後、灯りも暖房もない部屋でじっとしていても寒いだけなので、この…