2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

冬至

[エッセイ 154](新作) 冬至 会社勤めの終盤、埼玉県の戸田市まで6年間通勤した。湘南新宿ラインなどというしゃれた電車はまだ整備されておらず、藤沢の自宅から片道2時間半かかった。始業が8時半だったので、6時前には家を出なければならなかった。…

二つのレース

[風を感じ、ときを想う日記](59)12/24 二つのレース 今日は、テレビで二つのレースを楽しんだ。一つは、これから大人の仲間入りをしてどんどん伸びていこうとする若者たちのリレーである。いま一つは、功なり名を遂げた名馬の引退レースである。 4…

通行方向

[風を感じ、ときを想う日記](58)12/21 通行方向 昨12月20日付け日経新聞夕刊に、世界途中下車というエッセイのシリーズが載っていた。今回のタイトルは「右側通行、左側通行――欧米」、筆者はフォトジャーナリストの櫻井寛氏である。 私にとって…

障子

[エッセイ 41](既発表 3年前の作品) 障子 やっと障子の張替えが終わった。これで気持ちよく正月を迎えることができる。部屋がパット明るくなり、まるでリニューアルしたかのようだ。今までとはまったく違う雰囲気に、とまどいと居心地の悪ささえ感じて…

天の声

[風を感じ、ときを想う日記](57)12/12 天の声 最近、よく「天の声」という言葉を耳にする。この場合の天とは、「天地万物の支配者」、「神」あるいは「天帝」といったことをイメージしている。 ここ数ヵ月、新聞をにぎわしている「天」は、県知事や…

続・郡人会

[風を感じ、ときを想う日記](56)12/11 続・郡人会 先日、この日記で郡人会についてとりあげた。そういえば、いまどき郡人会などというものをやっているところが他にあるのだろうか。いまになって、そんな疑問がふと頭をよぎった。 さっそく、Yahoo…

神になった若者たち

[エッセイ 153](新作) 神になった若者たち 神風特攻隊の基地のあった鹿児島県・知覧に、一軒の小さな食堂があった。富屋食堂と呼ばれ、鳥濱トメさんという中年の女性が切り盛りしていた。 トメさんは、家族とはなれて出撃を待つ若者たちに母親のように…