2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

クリスマス・イヴ

[風を感じ、ときを想う日記](232)12/25 クリスマス・イヴ クリスマス・イヴといえば、銀座に繰り出すのが普通であった。猫も杓子も銀座に集まり、ただ歩道をぞろぞろと歩いた。中央通りは、ラッシュ時の新宿駅のように、歩道からあふれんばかりに…

年賀状

[エッセイ 42](既発表 5年前の作品) 年賀状 今年は、年賀状を360枚作った。つくったと表現したのは、裏のイラストや挨拶文はもとより表の宛名書きまですべてパソコンで処理したためである。ついに、年1回の大切な挨拶までコンピューター任せになっ…

東京タワー

[エッセイ 228](新作) 東京タワー 上り急行・安芸号が品川を過ぎて間もなく、左の窓側に座っている人が突然ウォーという声をあげた。完成間もない東京タワーが、朝日を浴びてその目線の先にあった。昭和34年(1959)正月すぎ、冬休みを終えて再び上京し…

ゆず湯

[風を感じ、ときを想う日記](231)12/22 ゆず湯 朝は6時46分、夕方は4時32分。これは、冬至にあたる昨日の、東京での日の出、日の入りの時刻である。これからいくと、昼間の時間は9時間46分ということになり、これが一年を通しての最短時…

閉店セール

[風を感じ、ときを想う日記](230)12/20 閉店セール 昨日、19日は“トーキュー”にちなんで、東急系で特別セールをやっていると聞き、近くの東急ストアに出かけてみた。しかし、年末商戦まっただ中というのに、いま一つ盛り上がりが感じられなかっ…

光の祭典

[エッセイ 4](既発表 6年前の作品) 光の祭典 昨夜から「東京ミレナリオ」がスタートした。私の推測では、ミレナリオとはイタリア語で千年祭(英語ではMillenary)を意味しているらしい。したがって、そのお祭りは西暦2千年の区切りを記念するもので、今…

冬の花

[風を感じ、ときを想う日記](229)12/17 冬の花 いまの季節、花といえばサザンカくらいしか目につかない。どうしても花の写真を撮りたくて、昨日の午前中、大船植物園を覗いてみた。気温は低かったが、快晴、微風なのが好都合であった。 バラはさす…

冷たい雨

[風を感じ、ときを想う日記](228)12/14 冷たい雨 「日曜日は雨」という予報は、1週間前から報じられていた。どうせ外れるだろう、外れなくても前後にずれるだろうと高をくくっていた。ところが、外れもせず、ずれることもなく、ピタリと当たって…

[風を感じ、ときを想う日記](227)12/12 変 1212をひねると、「いいじいちじ=いい字一字」と読めなくもない。そこで財団法人日本漢字能力検定協会では、その願いを込めてこの日を「漢字の日」としている。そういえば、漢字が読めない偉い人が…

学芸会

[エッセイ 227](新作) 学芸会 太平洋戦争末期、広島市近郊のある山村でのお話である。若者は次々と戦争に駆り出され、村は一段と寂しさを募らせていった。そんな中、唯一村人を元気づけていたのがお寺の鐘の音であった。 その鐘も、兵器の材料として供…

十二月八日

[風を感じ、ときを想う日記](226)12/8 十二月八日 十二月八日は何の日?と聞かれて、すぐ答えられる人は少なくなった。そういえば、最近ではテレビや新聞にもあまり大きく取り上げられることもなくなってきた。これも歴史の風化現象なのだろう。 い…

大雪のゴルフ

[風を感じ、ときを想う日記](225)12/8 大雪のゴルフ 昨、12月7日は二十四節気でいう大雪(たいせつ)にあたっていた。ものの本には、大雪は、平野部にまで雪が降り積もる季節、熊は冬眠に入り南天の実が赤く色づく季節、などと説明されている。 …

ロスの休日

[エッセイ 86](既発表 4年前の作品) ロスの休日 私達は、ハリウッドの散策に満足し、ビバリーヒルズに向かおうとしていた。地下鉄路線はなく、タクシーも捕まりそうにないのでやむをえず路線バスを利用することにした。バス停と思われるブースはすぐに…

グランドキャニオン

[エッセイ 85](既発表 4年前の作品) グランドキャニオン はるか彼方、目線よりやや上方に地平線が広がる。ところどころ欠けた部分も見られるが、ほぼ完全な水平といっていい。対岸の岩壁には、その地平線にそった茶褐色の横縞模様が何十層、何百層にも…

ラスベガス

[エッセイ 84](既発表 4年前の作品) ラスベガス 米西海岸3日目のラスベガスでは、巨大ホテルが目についた。ラスベガスの中核産業であるホテルは、市内に約70軒ある。その総客室数は126,000室、1ホテルあたり平均1,800室である。 「ストリ…

ヨセミテ国立公園

[エッセイ 83](既発表 4年前の作品) ヨセミテ国立公園 あの垂直の岩壁には、今日も何人かのロック・クライマーが張り付いているはずです。そういわれて、数人がそれに気がついたが、私はとうとう一人も見つけることができなかった。岩に取りついている…

セキュリティ・チェック

[エッセイ 81](既発表 4年前の作品) セキュリティ・チェック 8時間半の長旅を終えて、心躍らせながらサンフランシスコに足を踏み入れようとしていた。ところが、いま乗ってきた飛行機から空港ビルに通じるボーディングブリッジの上で、私たちは足止め…

骨折さわぎ

[エッセイ 80](既発表 4年前の作品) 骨折さわぎ ツイン・ピークスからの眺めはまさに百万ドルの眺望である。入国して最初に案内される名所である。名物の霧はみじんも見られず、眼下には明るい日差しを浴びたサンフランシスコの市街が広がっている。や…

禁煙

[エッセイ 21](既発表 5年半前の作品) 禁煙 私は、一週間前からたばこをやめた。禁煙の直接のきっかけは、増税によって7月からたばこが値上げされるためだ。従来は、値上げのつど買いだめによってささやかな抵抗を試みていたが、今回は抗議の明確な意…

たばこ

[エッセイ 2](既発表 6年前の作品) たばこ 今日の新聞に、たばこがまた値上げされるという記事が出ていた。政府が、たばこの増税を新年度の予算案に織り込むことを決めたというのだ。いったい、彼等はどうしてこうも「弱者」を狙い撃ちにするのだろう。 …

桂林

[エッセイ 40](既発表 5年前の作品) 桂林 料理なら、食前酒があり前菜がある。メインディッシュは終わり近くに運ばれてくる。音楽もしかりである。ストーリー性のあるものなら、ハイライトはたいてい後半にやって来る。終わりよければすべて良し、が一…

サルスベリの冬支度

[風を感じ、ときを想う日記](224)12/2 サルスベリの冬支度 秋になり、葉が落ちると、その佇まいはいいようもなくさみしさを漂わせる。最初の頃、細く伸びた小枝は植木屋が切ってくれていた。その切り口はこぶになり年々大きくなっていった。 なぜ切…