2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

駅前留学

[エッセイ 278] 駅前留学 東京駅の京浜東北線ホームで、外国人から成田エクスプレスの切符を見せられ「どこから乗ればいいの?」と聞かれた。私はとっさに「あっち!」と答えて、中央階段の方を指さし足早にその場を離れた。振り返ってみると、その外国人…

千鳥ヶ淵の桜

[風を感じ、ときを想う日記](343)3/29 千鳥ヶ淵の桜 週末の土曜日、夕方から都内で会合があった。どうせ出かけるなら、ついでに桜の名所でも覗いてみようと思い、千鳥ヶ淵に立ち寄ってみた。半蔵門から九段下に向かって、堀端をゆっくりと歩いてい…

液晶テレビ

[エッセイ 277] 液晶テレビ 三連休の最終日は、前日までの嵐がうそのような穏やかな日和となった。朝からぼんやりとテレビを見ていたら、突然あることを思い出した。家電製品のエコポイント制が、部分的にではあるが3月いっぱいで終了するという話である…

隠れ銀杏

[エッセイ 276] 隠れ銀杏 鎌倉鶴岡八幡宮の大イチョウが、3月10日の明け方、雪まじりの強風によって倒されてしまった。高さ30メートル、幹回り6、8メートル、樹齢千年の大木である。この神社の御神木であり、神奈川県の天然記念物にも指定されてい…

モクレン

[風を感じ、ときを想う日記](342)3/19 モクレン ハクモクレンが、華やかににぎやかに咲き誇っている。わが家の近くの県道には、両側の歩道に約2キロにわたって白い帯が連なっている。季節限定ではあるが、なんとも豪勢な眺めではある。 その並木に…

いのちの鎖とイルカ漁

[エッセイ 275] いのちの鎖とイルカ漁 米映画“The Cove”が、第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。日本語で入江という意味のこの映画は、和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りし、あたかも動物を虐待しているかのように表現したものだとい…

ウグイスの初鳴き

[風を感じ、ときを想う日記](341)3/15 ウグイスの初鳴き 数日前から、ウグイスの鳴き声が聞かれるようになった。近所に、藪と呼ぶ方があたっているような雑木林がある。早朝犬を散歩に連れ出すと、その辺りからあの透き通るような美しい声が聞こえ…

樹氷

[エッセイ 274](新作) 樹氷 遠くに望む山々は、頂上付近が白く輝いていた。平地はみぞれだったのに、山にはあんなにもたくさんの雪が降ったのだろうか。あのあたりは頂上まで森に覆われているので、積もっても全山が真っ白く見えることはないはずだ。枝…

雨の啓蟄

[風を感じ、ときを想う日記](340)3/7 雨の啓蟄 立春を過ぎたあたりからお天気の変化が激しくなってきた。降ったりやんだり、晴れたり曇ったり、はたまた温かくなったり寒くなったりとお付き合いする方も大変である。啓蟄を迎えたというのに、これで…

イータックス 2010

[エッセイ 273](新作) イータックス 2010 今年も確定申告の季節がやってきた。いつもなら、税務署から申告用紙が送られてくるのだが、今年は音も沙汰もない。どうやら、昨年e-taxで申告したためらしい。なにも来ないのなら、こちらからインタ…

桜餅と白酒

[風を感じ、ときを想う日記](339)3/3 桜餅と白酒 今朝、親しい友人からおおむね次のようなメールをもらった。 「冬のオリンピックがやっと終わった。もともと日本人選手にあまり期待していなかったのと、自分自身もオリンピックに興味が薄かったので…

わが家の創立記念日

[エッセイ 12](既発表 7年前の作品) わが家の創立記念日 3月某日、この日は私たちの結婚記念日である。朝から冷たい雨が降り続き、せっかく開いた梅の花が寒さにちぢみあがっている。37年前も、その日は雨だった。私たちの結婚披露宴の祝辞で、ある…