2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

キンモクセイ

[エッセイ 147](新作) キンモクセイ 住宅街を散策していると、どこからともなく甘い香りが漂ってくる。中国では、七里香や九里香などと呼ぶこともあるそうだが、そのほのかな香りは少し離れたところのほうが鼻孔に心地よい。高浜虚子は、その間合いを「…

彼岸花

[エッセイ 35](既発表 3年前の作品) 彼岸花 ちょうど、彼岸から10月の初めごろまで、田や畑の畦道に赤い花が目を引くようになる。「赤い花なら曼珠沙華、オランダ屋敷に雨が降る・・・」子供のころ流行った歌をいやがうえにも思い出す。 題名はなんと…

高(こう)さん

[エッセイ 72](既発表 2年前の作品) 高(こう)さん 北京空港での入国手続きが終わったとき、現地時間は午後の2時に近かった。到着ロビーでは、出迎えの現地旅行社の係員が待っていてくれた。彼は日本語も上手、他の客も交えて雑談をしているうちにワ…

敬老の日

[風を感じ、ときを想う日記](39)9/19 敬老の日 昨日は、台風の余波で昼過ぎまですっきりしない天気が続いた。とりたてて予定もないので、敬老の日の集いを覗いてみることにした。場所は、歩いて15分くらいのところにある老人福祉センターである。…

高野槇

[エッセイ 146](新作) 高野槇 今日は、駅前のスーパーに目玉商品の安いのがあるというので、散歩がてら夫婦でそちらに出かけてみることにした。途中、農家の庭先で、直売品の陳列作業をしているところに出くわした。見ると、大根の摘み菜が山積みされて…

優勝フィーバー

[エッセイ 31](既発表 3年前の作品) 優勝フィーバー やっと、阪神のリーグ優勝が決まった。通信社の記事は、そのときの大坂・道頓堀の様子を次のように伝えている。 道頓堀が「狂喜の街」と化した。阪神タイガースの18年ぶりの優勝が決まった15日夜…

重陽の節句

[エッセイ 145](新作) 重陽の節句 もう四半世紀もむかしの話になるが、現在の土地に引っ越してきたとき、電話番号も新しいものに変わった。電話局から告げられた新番号は9442であった。これでは、「苦しい・死に」ではないですかと抗議し、かろうじ…

米・同時テロ

[風を感じ、ときを想う日記](38)9/11 米・同時テロ 「お父さん、あの世界貿易センターに飛行機がぶつかったそうよ」。風呂から上がってきたばかりの私に、テレビのニュース速報を見て家内が叫んだ。 2ヵ月半前にそこを訪れたばかりであったので、特…

とりあえず ビール!

[エッセイ 30](既発表 3年前の作品) とりあえず ビール! 9月になって、やっと夏らしい日が続くようになった。「この夏一番」という暑さについての記録は、9月に入ってからのものがほとんどである。それでも、どこか好ましい暑さである。日本特有の蒸…

カブトムシ

[エッセイ 144](新作) カブトムシ 長い夏休みもとうとう終わってしまった。休みの間、子供達を楽しませてくれたカブトムシたちも、最期のときを迎えようとしている。 カブトムシといえば、長男が小学生のころ、1年近くにわたって彼らの面倒をみたこと…