イータックス 2010

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[エッセイ 273](新作)
イータックス 2010

 今年も確定申告の季節がやってきた。いつもなら、税務署から申告用紙が送られてくるのだが、今年は音も沙汰もない。どうやら、昨年e-taxで申告したためらしい。なにも来ないのなら、こちらからインターネットに出向いていけばいいのだが、やはり画面だけでは心もとないのが高齢者の弱さであろう。
 
 近くの市役所の出先機関で、説明書と申告用紙をもらってきた。政権は代わっても、税制の面では大きな変更はないようだ。さっそく、証明書や領収証をそろえ、手書きで申告書に記入してみた。母の介護費用も医療費控除の対象になるので、今年もなにがしかの還付金が得られそうだ。

 さっそくパソコンを開いて、国税庁の確定申告のページにアクセスした。パソコンはまだ新しく、OSは間違いなく対応できるはずだ。データは全部そろっているし、昨年用意したICカードリーダライタと住基カードもセットした。もちろん、利用者識別番号と専用の暗証番号も入力した。

 画面の指示に従ってデータを打ち込んでいった。医療費の明細にはかなりの時間を取られたが、申告書そのものは簡単に出来あがった。還付金の数字は手書きのものと一致していた。確信をもって「送信」をクリックした。送信後に現れたページをプリントしてパソコンを閉じた。

 終わった後、気持ちの中になにかすっきりしないものが残った。プリントした最後のページをチェックしてみた。ページの真ん中あたりに大きく枠で囲まれた部分があるが、そこにはなにも書かれていない。ひょっとしたら送信されていないのかもしれない。

 予感は悪い方にあたった。コールセンターに問い合わせたところ、どこかで操作を間違えてしまったらしいと分かった。データは残っているはずなので、それをもとにやり直してみてくださいということであった。しかし、どこにもデータは見当たらない。パソコンを閉じたとき、全部消してしまったらしい。

 仕方なくもう一度最初からやり直した。送信の段になって、また立ち往生してしまった。作業を始めてすでに3時間が経っている。今度はそのままの状態で再度コールセンターを呼んでみた。よく聞いてみると、事前準備がちゃんとできているかチェックするページがあるが、その段階をいい加減に通過させてしまったようだ。

 今年はだれにも頼らないようにしようと思っていたのに、またコールセンターのお世話になってしまった。書いてあることをきちんと読んで、そのとおりにやればなんでもないはずである。デジタル嫌いが高じて、わざわざつまらないミスを犯してしまうのはアナログ世代のサガなのだろうか。
(2010年3月5日)