サルスベリの冬支度

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[風を感じ、ときを想う日記](224)12/2
サルスベリの冬支度

 秋になり、葉が落ちると、その佇まいはいいようもなくさみしさを漂わせる。最初の頃、細く伸びた小枝は植木屋が切ってくれていた。その切り口はこぶになり年々大きくなっていった。

 なぜ切るのか、確たる理由もわからないまま、いつの間にか私自身の手で切るようになった。そして後年、小枝を切ると切らないとでは、花の付き方に大きな差が出ることを知った。

 これは、3カ月前にサルスベリについて書いたエッセイの最後の部分である。このように、葉を落とした姿は、お祭りの後にも似ていかにもさみしい。そうかといって、あまり早く枝を落としてやるとまた芽を出して枝を伸ばす。やはり、他の落葉樹があらかた裸になるころまでは待たなければならない。

 そしてその季節がやってきた。小春日和に誘われるように重い腰をあげ、物置から脚立を引っ張り出してきた。1メートル以上にも伸びた小枝を一本一本切り落とし、場所を変えてまた別の枝にとりかかる。足場の悪い場所もあり、庭で使うにはやはり脚立は三本脚がよかったようだ。

 小枝のなくなったこぶだらけの立ち姿は、つるつるの木肌とともにそれなりに風情を醸し出している。これで冬支度も整い、来年の初夏に向けて開花のエネルギーをためこんでいくことになる。