八月の風

[風を感じ、ときを想う日記](1130)8/5

八月の風

 

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。

 

 ・・・サルスベリの花は、樹木に花のほとんど見られなくなる夏の間、夾竹桃キョウチクトウ)の花とともに暑さにうだる私たちの心をやさしく癒してくれます。

 

 その様子を、高浜虚子は「炎天の 地上花あり 百日紅」と表現しています。また、鮮やかな紅色をしたちりめんのような花が、3カ月以上も繰り返し咲きつづけることから、加賀千代女は「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」と詠みました。

 

 サルスベリは、皮が滑らかで猿でもすべるということから、「猿滑」とよばれるようになり、また、およそ百日も咲き続けることから「百日紅」とも書かれるようになりました。

 

 多様な表情を持つサルスベリを、夏の貴重な花として大切に愛でてあげたいですね。・・・

 

 ところで、サルスベリはわが家の庭にも咲いている。色は鮮やかな赤で、好みのものに近い。花の数も多く、賑やかに咲きほこっている。ただ、他と比べて開花時期がずいぶんと遅い。なんと、先月末に咲き始めたばかりである。この分だと、“八十日紅”とでも呼び変えなければなるまい。