ツクシとスギナ

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[風を感じ、ときを想う日記](433)4/18
ツクシとスギナ

 老夫婦が、川の土手で仲良くツクシを摘んでいる。まわりにはスギナが勢いよく伸びはじめており、ツクシたちは少々押されぎみである。それでも、あのユニークな形はしっかりと維持し、みずみずしさも十分に保っている。

 ツクシは、食べてみてもおいしいとは思えないが、物珍しさと季節感を実感するには貴重な一品ではある。この老夫婦も、夕食の材料を集めているというより、単に二人揃っての摘み取りを楽しんでいるのかもしれない。

 ところで、「ツクシだれの子、スギナの子」などとよくいわれるが、両者は必ず同じところに密生している。6年前にまとめた私のエッセイでは、両者の関係を次のように書いている。「・・両者は親子関係ではなく、黒褐色の地下茎で結ばれた一つの個体である。それが、スギナとツクシの二態に分かれ、それぞれ重要な役割を分担している。

 スギナは栄養茎とよばれ植物としての日常生活を、ツクシは胞子茎とよばれ繁殖の機能を担っている。地下茎は、竹のように自分自身で生活の場を広げていくこともできる。彼らは、このように地下茎によるクローン作戦で周囲を固める一方、シダ類本来の繁殖の仕方である胞子を飛散させることによって子孫の繁栄を図っている。・・」

 彼らは、そのかわいい姿で、足元から春の到来を実感させてくれる。