八重洲というふる里

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[風を感じ、ときを想う日記](434)4/25
八重洲というふる里

 私の社会人としての第一歩は、東京の八重洲から踏み出した。入社した会社が東京駅の八重洲南口前にあったのだ。まがりなりにも親から独立し、経済的にもちょっぴり楽になった私の青春は、そこが舞台となった。

 私の気持ちの中では、幼少期に近い時期になじんだ所ほど、その地への愛着を強く感じる。この八重洲という土地は、私の青春時代とも重なって、ふる里に次いで強く郷愁を感じさせる場所である。ここで一緒に働いた同僚たちに、同郷出身者と同じくらいの親しみを感じるのは当然のことであろう。

 八重洲の事務所は、およそ10年後には日本橋に移転した。したがって、そこでの同僚は増えることはなく、逆に年々減る一方の運命にある。それらのメンバーが、年一回その八重洲に集って半世紀来の旧交を温めるのは自然の成り行きである。

 一昨日の土曜日はあいにくの悪天候に見舞われた。それでも、八重洲のホテルに21名が集まった。昨年の30名に比べると大幅に少ないが、大震災の直後であることを考慮するとよく集まった方かもしれない。パーティーには3時間もとってあり、半世紀の空白を埋めるのには十分な時間であった。

 帰途、福島出身者に誘われて福島県のアンテナショップに立ち寄った。雨にもかかわらず大混雑だった。被災地の応援のつもりなのだろうか。