金木犀

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[風を感じ、ときを想う日記](121)10/11
金木犀

 どこからともなく奥ゆかしい香りが漂ってくる。ふと足を止め、顔を上げてあたりを見回す。ああ、ここにあったか。その存在を確かめ、なんとなく安心してまた歩みを進める。

 わが家のまわりには、たくさんの金木犀が植えられている。敷地に少しでも余裕のある家庭では、申し合わせたようにそれを1本ずつ植えている。香り以外とりたてて特徴のない木であるが、庶民の庭には欠かせない定番のようだ。おかげで、この時節になると街全体がそこはかとない芳香につつまれる。
 
 今年は、いつもよりだいぶ開花が遅れたのではなかろうか。私は、昨年秋に「キンモクセイ」と題したエッセイを書いているが、このときの日付は9月26日になっている。例によって、花の盛りの頃に書いているはずなので、今年はそれより半月ばかり遅れたことになる。

 香りが漂いだしてもう4~5日になるが、金色に輝く花びらはまだ峠を越えた様子はない。例年なら、アッという間に散ってしまうのに、今年は満足のいくまで私たちを楽しませてくれている。
 
 異常気象も悪いことばかりではないようだ。