雨の立冬

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[風を感じ、ときを想う日記](724)11/8
雨の立冬

 朝からしとしとと雨が降り続いている。まるで秋雨のようだといいたいが、暦の上では今日から冬、まるで氷雨のようだと形容すべきかも知れない。わが家の庭のハナミズキは、残り少なくなった葉っぱを冷たい雨にたたき落とされまいと必死に頑張っているようだ。

 今日はその立冬、いよいよ冬の始まりである。冷たい北風が枯れ枝を揺らし、厚く積もった落ち葉をまきあげる。初霜が降り、あたりは冬の佇まいへと変わっていく。サザンカの赤い花が、殺伐なその風景にけなげに色を添えようとしている。昼夜の寒暖の差が激しくなり、人々をこたつ開きへと急きたてる。

 この立冬の立という字は新しい季節の始まりという意味である。次が立春、そして立夏、さらには立秋と続き再び立冬に戻る。しかし、立冬には、「季節の終わりの始まり」や「季節の底のはしり」といったイメージがつきまとう。

 暑い夏が終わり、ホッとしているのもつかの間、日はどんどん短くなり秋を楽しむ間もなく季節の底に落ち込んでいく。米国では、秋のことをautumnというよりfallと呼ぶことの方が多いと聞くが、この落ちるという意味合いの言葉は実感として大変よく理解できる。

 しかし、たとえ季節の底にあっても、工夫次第で明るく暖かく過ごす方法はいくらであるのではなかろうか。