[風を感じ、ときを想う日記](866)8/16
八月の風
今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。
・・・浴衣、打ち水、朝顔と並べると、日本の夏を代表する情緒的な風景の一つとなります。
ところで、古代中国では、その朝顔の種は薬の原料になる貴重品で、牛と取引されるほど高価でした。そこで、その花のことを牽牛にちなんで「牽牛子」と呼んでいたそうです。
一方、日本では、花の姿形が男性の牽牛より女性の織姫をイメージさせることから、牽牛子から変転をたどって「朝顔姫」と呼ばれるようになりました。彦星と織姫星は、年に一度、旧暦の七夕の夜にだけ会うことができます。同じころ花を咲かせる朝顔は、その幸運が具現化された縁起の良い花として、庶民の間でもてはやされるようになりました。
私たちも、浴衣、打ち水、朝顔と揃え、縁台で日本の夏を楽しんでみてはどうでしょう。・・・
明日8月17日は、その旧暦の七夕の日にあたる。例年より少し遅い感じもするが、さいわい夜空は晴れ渡り、彦星(牽牛)と織女星(織姫)のデートの様子も見られるはずである。短冊に書かかれた子供たちのささやかな願いごとも、おおかたが叶えられそうである。