名月中の名月

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[風を感じ、ときを想う日記](595)9/20
名月中の名月

 今年の中秋の名月は、三拍子そろったまさに「中秋の名月中の中秋の名月」だった。これだけ条件がそろった中秋の名月は、何十年に一度しかないということができよう。

 その第一は、台風一過、日本全国見事に晴れわたり月をさえぎる雲のかけらもなかったことだ。暗黒の宇宙の中に、ぽっかりと大きな月が浮かんでいた。

 その第二は、旧暦8月15日と満月がぴたりと一致していたことだ。月齢表を見ると納得いくが、15日が十三夜であったりと両者の間には最大2日間のずれがある。むしろ一致しない方が多い。事実、次に一致するのは8年後、東京オリンピック翌年の2021年9月21日である。

 その第三は、今年の中秋が理論的な秋の中間に近いところにあったことだ。旧暦8月15日を、2000年以降20年間の新暦と対比してみると、早い年は2014年の9月8日、遅い年は2009年の10月4日であった。両者の間にはなんと26日間もの開きがある。両者の中間は9月21日ということになり、9月19日はこの平均にも9月23日の秋分の日にもかなり近い。

 ちなみに、中秋の名月を仲秋の名月と書くことがあるが、両者の意味合いは大きく異なる。中秋とは、秋のど真ん中の旧暦8月15日その日だけを指すが、仲秋とは初秋の7月と晩秋の9月に挟まれた旧暦の8月1カ月間を指す。