台風一過のヒガンバナ

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[風を感じ、ときを想う日記](594)9/18
台風一過のヒガンバナ

 台風が通りすぎていった敬老の日、空が明るくなったのを確かめてウォーキングに出かけた。いつものルートをたどっていると、雨のしずくが乾き切れていない傾斜地の土手で草刈りをしている人がいた。エンジンの音につられて、何気なくそちらをみると、赤い花が目に飛び込んできた。

 彼岸までにはまだ間があるというのにもう咲いたのだろうか。踵を返してもう一度確かめてみた。ヒガンバナが満開に近かった。昨年は、彼岸を一週間も過ぎてやっと見ごろを迎えた。今年の夏も暑かったので、花は遅くなるだろうと思っていた。ところが、どうやら風向きが少し変わってきたようだ。

 時間を見つけて、すっかり名所になったあの小出川を訪ねてみた。台風一過の抜けるような青空のもと、赤いじゅうたんが川の両岸にはるか遠くまで伸びているはずだった。だが、膨らみかけた期待は徐々にしぼんでいった。満開のはずの彼女たちは、まだ三分咲きほどでしかなかった。

 それでも、赤くなりかけた絨毯の上を、赤とんぼたちがすいすいと飛び交い、蝶がひらひらと舞っていた。昆虫たちも、去りゆく夏を惜しみ、やっとやって来た秋に命の残り火を燃やし尽くそうとしているのかもしれない。

 それにしても、秋に台風はつきものというが、周りに広がる田んぼでは、せっかく稔った稲が無残になぎ倒されていた。