昼寝

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[エッセイ 292]
昼寝

 先日の新聞に、「猛暑疲れに負けない心掛けのランキング」というのが出ていた。1位:水分をこまめに取る、2位:3食をきちんと取る、3位:夜の睡眠を十分取る、4位:昼寝をする、5位以下略。全国の成人男女1020名にアンケートした結果だそうだ。有効回答数は948名だったという。

 私も同じようなことに留意しながらこの夏を乗り切った。とくに昼寝については、できるだけ多くのチャンスを作るよう心掛けてきた。もともと、動物には一日に2回、生理的に眠くなる時間があるという。1回目は午前2時~4時、2回目は午後1時~3時だそうだ。たしかに、昼食後の授業や会議、あるいは仕事でも、眠くて仕方ない時間帯がある。それを無理に続けていると、集中力が途切れ能率が下がるばかりか、思わぬ事故に遭うことにもなりかねない。

 そんなとき、ちょっとでも昼寝をすると、脳は活性化し、注意力や能率はぐんと高まる。仕事の量はもとより質においても、昼寝に費やした時間の何倍も取り返すことができる。昼寝は、夜間の睡眠の質を高め、高血圧や虚血性心疾患といった病気の予防にも効果的だという。

 ところが、あまり長時間寝ていると、気だるさがいつまでも取れないことがある。睡眠慣性と呼ばれる現象だ。おまけに、長時間の昼寝の直後には、脳梗塞心筋梗塞を発症する危険が増加するという。さらには、長時間の昼寝を繰り返していると、アルツハイマーに罹りやすくなるともいわれている。

 それでは、どのような昼寝が効果的なのだろう。昼寝の時間帯は、早寝早起きの人は午後1時~1時半あたり、夜更かしする人は午後2時半~3時頃がいいという。睡眠時間は15~30分が適切で、それ以上は逆効果になる。昼寝はあくまでも仮眠であって、深く眠らないようにすることが大切である。

 そこで、“仮眠”に適した昼寝の要領を探ってみた。部屋の明るさは、暗くならない程度に低く抑える。姿勢は、椅子にゆったりともたれる、あるいはテーブルにうつぶせになるのがいいようだ。暗くして横になると、とかく深く長く眠ってしまうので、本格的な寝方はやめた方がよさそうだ。

 昼寝の前に、コーヒーやお茶などカフェインの入った飲み物を取ると、20~30分後にその効果が表れ、短時間にすっきりと寝覚めることができる。自己覚醒といって自分で目を覚ます練習をすれば、それくらいの時間で起きられるようになるそうだ。もちろん目覚し時計の利用もお勧めである。起きたら、冷水で洗顔し太陽光などの強い光を浴びるとすっきりと目が覚めるという。

 仕事でも家庭でも、昼寝を上手く利用すれば、いっそう健康的で活力に満ちた生活を送ることができそうだ。
(2010年9月20日)