こむらがえり

[エッセイ 643]

こむらがえり

 

 三日前、金曜日の就寝中のことだった。夢うつつに思いっきり背伸びをしたら、右足がつって激しく痛んだ。“イタタタタタタタ・・”、痛いだけでどうすることもできない。激しく痙攣しているふくらはぎをさするのが精一杯、ただただ我慢して治まってくれるのを待つだけだった。過去にもこんな経験をしたことは何度かあるが、今回のものはとくにひどかった。

 

 たいていは一過性で、時間が経つとそのまま眠りについていた。そして、朝には何事もなかったように穏やかになっている。ところが、今回は後遺症といっていいようなものが残っていた。ジッとしていればなんでもないが、歩くとその部分が筋肉痛のときと同じように痛む。とくに、階段を上るときは痛みが大きい。そして、三日経った今日も同じように痛む。

 

 この「こむらがえり」、俗に足がつるという症状は筋肉の痙攣の総称だそうだ。主にふくらはぎにおこるが、足の裏や踵あるいは太ももにもおこることがある。自分の意志とは無関係に、筋肉が持続的に痙攣し激しく痛む。睡眠中、だいたい明け方に突然おこることが多いという。そのきっかけには、特別の心当たりのないのが普通だが、激しい運動で筋肉を使いすぎたときにもおこるそうだ。

 

 体内に蓄積されているはずの、カリウム、カルシウム、あるいはマグネシウムなどの電解質の異常やその不足が主な原因だそうだ。これら、とくにマグネシウムの摂取不足が主な原因だといわれている。さらには、せっかく摂取していても、下痢、嘔吐、発汗、激しい運動などによって失われたり、利尿剤によって体外へ放出されたりすることも理由として考えられる。

 

 これらの不足分を補うには、それらを多く含む食品を積極的に摂取するのがお勧めだそうだ。海藻類、ナッツ類、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐などの大豆食品、骨ごと食べられる小魚、ナガイモやサツマイモといった根菜類、そして果物としてはバナナやキウイがそれに当るという。そして最も大切なことは、水分を積極的に補給すること、とくに夜間のこまめな補給が大切だそうだ。

 

 ここまで、「摂取不足」のことばかり取り上げてきたが、運動不足も立派な理由に挙げられる。就寝前に、全身の、とくに足の筋肉をゆっくりと「伸ばす」動作をするのが効果的だそうだ。そして、これまで触れてこなかったが、自身の気づいていない病気が原因になっているかもしれない。“いずれ”などといわず明日にも、自身の健康を専門機関で再チェックしてもらってはどうだろう。

 

 ところで、今回のこむらがえりは、三日経っても傷みはまったく引かず、腱鞘炎を患ったときのように長く尾を引いている。いままでの経験から、傷んだ筋肉の治療には相当の時間を覚悟しなければないようだ。

                     (2022年11月21日 藤原吉弘)