メタボリックシンドローム

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[エッセイ 281]
メタボリックシンドローム

 「あなたはメタボです。生活習慣の改善を支援したいので、指定のクリニックと連絡をとってみてください」。昨秋、市の主催する健康診断を受けたら、2カ月後にはこのような通知が届いた。自分には自覚はまったくないし、周りの人もまさかメタボなんかじゃないでしょうといってくれている。

 それでも、無料で支援してくれるというのにひかれて、正月明けには近所のクリニックを訪ねていた。その医師と相談して練り上げた“ヘルスアッププラン”は、減量目標が6カ月で3キロ、方法は1時間のウォーキングと朝食のトーストを2枚から1枚減らすというものだった。

 メタボリックシンドロームとは、生活習慣によって内臓脂肪が体内に蓄積され、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの発症リスクを併せ持つようになった状態をいう。外見でメタボと判断される目安は、男性の場合で腹囲が85センチ以上とされている。しかし、それ未満であっても、BMI(Body Mass Index=体重kg÷身長m÷身長m)が25以上、あるいは危険因子(〃谿機↓∋藜繊↓7貪釗砲1つでも基準値をはみ出していればそれに該当するという。

 私のBMIは24.9でかろうじて基準内に収まっているが、腹囲は86.2、血圧は140と2つの点で基準値をはみ出している。このままだと、お腹まわりにさらに内臓脂肪が蓄積され、高血圧・糖尿病・脂肪異常症へとすすむ。加えて、動脈硬化を起こすおそれもでてくる。それを放置し続けると、脳卒中心筋梗塞などの心疾患を発症することになるかもしれないという。
 
 翌朝からトーストは1枚に減らした。やや物足りない感じもするが、辛抱強くそれを続けた。2カ月が過ぎたころ、減量効果は早くも2キロに達した。喜ぶより、癌にでも罹ったのではないかという心配の方が先に立った。そういえば、高齢になって体重が減るのはあまり好ましくないという話もある。

 今年3月23日付けの「体重減、死亡リスク高く」という新聞記事がそれを裏付けている。――「厚生労働省研究班は、中年以降に体重が5キロ以上減ると、変わらない人に比べて死亡リスクが男性で約4割、女性で7割高まるという疫学調査結果を発表した。特にがんで死亡するリスクが高くなった。体重が5キロ以上増えた場合も死亡リスクが3割前後増えた」

 私のズボンのウェストは、73から始まって82センチにまで伸びてきた。ヘルスアッププランを始めてからもそれに目立った改善はみられない。昨夜体重計に乗ってみたら減量効果は3.5キロにまで進み、期限を待たずして目標を達成してしまった。やっただけの成果が得られたという満足感と、緩みきったウェストがちっとも縮まらないという苛立ち感の交錯する今日この頃である。
(2010年5月16日)