寒露のかおり

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風を感じ、ときを想う日記(305)10/10
寒露のかおり

 台風18号がまだ太平洋上のはるか彼方にあったころ、就寝前の天気予報を見て驚いた。中心気圧は910ヘクトパスカル、最大瞬間風速はなんと80メートルにも達するという。いままでの記憶にないほどの強烈な台風である。おまけに、進路予想は紀伊半島直撃となっている。このままいくと、近畿以北を総なめすることになる。

 台風が本土を直撃する前日のこと、近所を歩いていてふと鼻先をかすめるものを感じた。あれ!キンモクセイが咲いたのかな?あたりを見回すと、そのお宅の庭さきに黄色いものがチラホラ垣間見られた。せっかく咲きだしたのだから、なんとか台風にも負けないでいてほしい。

 二十四節句でいう寒露に入ったその日、首都圏の交通機関は強風の影響で軒並みストップしてしまった。台風一過の昼下がり、強い日差しのなかを、引きちぎられた葉っぱの後片付けに汗を流した。キンモクセイたちの多くは、暴風をかいくぐってしたたかに生き残った。いまは、台風などどこにもなかったかのように咲き誇り、あの独特の香りを惜しげもなくふりまいている。

 寒露とは、草花についた冷たい露のことをいう。秋も深まり、いよいよ紅葉と菊の季節がやってくる。