有明の月

風を感じ、ときを想う日記(1171)2/17

有明の月

 

 昨日、2月16日の朝のことだった。二階の南側の雨戸を開けたところ、目線の先に細くなりかけた有明の月がくっきりと浮かんでいた。真南よりやや東寄り、ちょうど今年の歳徳神のおられる方角だった。その美しさと神々しさに、ついオーと小さく声を上げてしまった。午前6時ごろで、空は薄暗く、月の美しい姿もまだ十分楽しめる時間帯だった。

 

 有明の月というのは、朝、暗いうちに起きて見られる月の総称である。夜が“明”けても空にはまだ“有”る月ということで、そう呼ばれるようになったそうだ。つまり、満月の翌日、月齢でいうと15日から29日まで、陰暦では16日以降がそれにあたるようだ。

 

 そしてもう一つ、有明の月には狭い意味で月齢25日、陰暦では26日の月を指す場合もある。このニックネームは、月齢14日、陰暦では十五日の満月(まんげつ)、15日の十六夜(いざよい)、16日の立待月(たちまちづき)、17日の居待ち月(いまちづき)など日ごとに変わる呼び名のその先にある。

 

 昨日の明け方の月は、広い意味でも狭い意味でも「有明の月」である。ちょうどその前日、河津桜の満開になった枝に出会うことができた。オーと小さく声を上げつつ、なにか花札を一枚一枚めくっているような気分になってきた。これからの本格的な春に向けて、さらに新たな一枚をめくるのが楽しみである。