大暑の日の名月

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[風を感じ、ときを想う日記](1051)7/23

大暑の日の名月

 

 昨日は二十四節気の「大暑」に当たっていた。一年で一番暑い日といわれるだけあって、37~8度の高温が南北を問わず全国各地で記録されていた。しかし、この日は暑いというだけではなく、特別記念すべき日でもあった。東京オリンピックの開幕前夜に当たっていたのだ。そして、そのために通常は7月19日であるはずの「海の日」を、今年に限っては開幕前日に先延ばししたのだ。

 

 そんなことより、昨夜はめったに見られないような名月だった。夜空はすっきりと澄み渡っていた。満月間近の月が、その深い闇の中にくっきりとうかびあがっていた。この日は旧暦では6月13日で、月齢では十三夜に当たる名月である。もっとも、正式の十三夜は旧暦の9月13日なので、本物を楽しもう思えば10月18日まで待たなければならない。

 

 普通、月を愛でるといえば、その対象は満月であろう。しかし、その時は満足できても、その翌日からすぐにも欠けていくというのでは、むしろ寂しささえ感じられる。その点、13日の月は14日、15日と満月に向かって満ちていく。日本人が、わびさびを好みそれに通じる寂しさを求めているとしても、やはり満ちていくときの方がその先に希望が持てるのではなかろうか。

 

 今夜、いよいよ東京オリンピックの開会式を迎える。多くの災厄を乗り越え、十三日の月のような希望に満ちた祭典となることを願ってやまない。