三十日月と明けの明星

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[風を感じ、ときを想う日記](1001)12/13

三十日月と明けの明星

 

 雨戸を開けたら、まだ明けやらぬ薄明の空にやせ細った月が残っていた。2日前、12月11日の朝のことである。月齢では27日にあたる。月齢25日の月は有明の月と呼ぶようだが、この日の月には特に愛称はないようだ。それでも、このまま忘れ去るには忍びなかったのでその姿をカメラに残しておいた。

 

 そして今朝、月はもう見えないだろうと思いながら東の空を眺めてみた。あいにく、そのあたりには雲がたなびき、しっかりとは確認できなかった。あの雲さえなかったら見えるかもしれないのに、とそのあたりをにらみつけていた。明るくなる直前なので時間との勝負でもある。

 

 やっと雲が退いてくれた。細~い月がかすかに残っていた。すぐ近くにある星の方が、ずっと輝いて見える。そうだ、あれは明けの明星のはずだ。めったに目にすることのできない残月との出会いシーンだった。せっかくのチャンスなのに、空は容赦なく明るさを増していった。

 

 今朝の月は月齢では29日にあたり、愛称は三十日月(みそかづき・晦日月とも書く)と呼ばれている。輝きを残す最後の月である。一方の明けの明星はもちろん金星である。ある書物によると、「明けの明星とは、夜明けから薄明にかけて、東の空に明るく輝いてみえる金星の俗称」とあった。

 

 今年最後の天体ショーは、日の出とともにあっという間に終わってしまった。

 

写真:上 三十日月と明けの明星

写真:中 2日前の無名の月

写真:下 わが家の紅葉