上弦の月

[風を感じ、ときを想う日記](1148)10/31

上弦の月

 

 一昨夜、土曜夜のことだった。町内会で花火大会をやるというので出かけてみることにした。会場は、私たちもグラウンド・ゴルフでよく利用する緑の広場と呼ばれる運動広場である。住宅街の中なので大規模な仕掛けはできないが、打ち上げ花火や“ナイヤガラの滝”もひととおり用意されていた。

 

 広場は、子連れで大変な賑わいだった。そんな華やかな雰囲気に囲まれながらも、西の空には上弦の月が静かに浮かんでいた。月齢でいうと5日目の、明るさにも乏しい地味な姿である。それでも、晩秋の雰囲気がよく表れた光景だった。

 

 わが家の西側は小高い丘になっており、マンションなどもあって、西に沈む夕日や月を眺めることはほとんどできない。せっかくの機会なので、次の夜も同じ場所から、少しばかり肉付きのよくなった月を眺めてみることにした。

 

 この夜も、月は西の空の低いところにかかっていた。旧暦6日目の、上弦目前の月である。月の左側、欠けている部分をやや上向きにしている。弓が、弦を左上にして、斜めに仰向けになった格好である。月には月齢に伴ういろいろな愛称があるが、闇夜から満月まで、ちょうど半分まで満ちた姿を上弦の月という。

 

 逆に、満月から闇夜に向かう途中、半分まで欠けた姿を下弦の月という。眺める者からみて、上弦と下弦は左右対称となる。どちらも似たようなものだが、満ちていく上弦の方により親近感を覚えるような気がする。