[風を感じ、ときを想う日記](907)6/17
六月の風
今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。
・・・梅雨のはしりが現れるころ、柔らかい印象のタチアオイが咲きはじめます。最初は、足下に咲く普通の草花のようにみえますが、やがて真ん中の茎が垂直に芽を出し、天に向かってどんどん伸びていきます。伸びるはしから、茎の周りに次々と花をつけていきます。
梅雨も半ばにさしかかるころには、高さも人の背丈を軽く超え、まるで花の林のような様相を呈してきます。その一方、花は根元に近い方から順に枯れ落ち、梅雨の終わるころには全体がフィナーレを迎えます。この花、梅雨のころ咲くので梅雨葵とも呼ばれます。
あの、天に向かって勢いよく伸びていく姿には感動さえ覚えます。そのひたむきな姿勢、何ものをも貫き通すあの活力、私たちも生き抜く力としてぜひ見習いたいものです。・・・
ところで、そのタチアオイだが、今年は花の進み具合が例年よりだいぶ早いようだ。いつもだと、この挨拶にあるように、梅雨とほぼ同じタイミングでその花の一生を送る。ところが、今年の花は、すでに後半に入ろうとしている。
自然とは気ままなものだ。このような挨拶文は、なるべく季節感あふれるものにしたいと思っているが、このようにずれてしまうこともしばしばである。