フジ(藤)満開

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風を感じ、ときを想う日記(902)4/29
フジ(藤)満開

 その前日の夜、NHKニュースで市内のフジの名所がいくつか紹介された。画面に唯一登場したのは、毎年見せてもらっている個人宅の藤棚だった。今年は、行事やら雨やらで、延びのびになっていた。明日は予定もなく、お天気もよさそうなので、なんとしても見せていただこうと思っていた矢先だった。

 「あれ!房が少し短くなったんじゃあないですか?」ちょうど、庭先で草むしりをしていたその家の主婦に問いかけてみた。「おじいちゃんが亡くなって以来、少し出来が悪くなったようなんですよ。以前も、特に手入れをしていたわけではないのですがねェ」。それでも、NHKが取材に来るほど立派なフジである。

 そこは、半世紀前、市の西部地域が大規模に開発されたニュータウンの隣接地である。小山のようになったその一角だけ、手つかずの自然が残されている。その、斜面と雑木林に続く農家の庭先に大きな藤棚がしつらえられている。棚の他鉢植えでも、沢山の珍しい種類のフジが並べられている。

 テレビのおかげで、山里のような一角に、この日は来訪者が絶えることはなかった。しかし、フジの花の特性だろうか、その殆どは老夫婦のようだった。

 この屋のご厚意により、毎年美しいフジの花を楽しませていただいている。ありがたいことだが、さりげなく置かれている募金箱に、そっとコインを投入するのが精一杯である。