穀雨

[風を感じ、ときを想う日記](1108)4/20

穀雨

 

 4月20日とこれからの半月間は、二十四節気でいう「穀雨」にあたる。穀雨とは、種まきや田植えの時期に降る雨のこと、そしてその穀物の生長を助ける雨のことをいう。穀物の種が発芽するにも、その芽が順調に生育していくにも、欠かすことのできない大切な雨のことである。

 

 このところ、降ったり止んだりまた晴れたりと、めまぐるしく変ると思ったら、穀物を潤すためにお天気の方で気を遣ってくれていたようだ。黒褐色をしていた地面にまだらに緑が芽生え、その緑の面積が日に日に広がっていく。やがて、そこは濃い緑に覆われた。裸だった木々の枝先にも緑が芽生えたと思ったら、青空の見えていた空間はあっという間に濃い緑で覆い尽くされてしまった。

 

 足下ではボタンやツツジが咲きほこり、頭上の藤棚には大きなフジの花房が垂れ下がっている。春浅いころのウメやサクラ、あるいはモモといった木の枝に華やかにパッと咲く花とは、ひと味もふた味も違った風情である。

 

 そして、穀雨の終わりごろには八十八夜がやってくる。春の恵みの雨によって育てられた新茶は、最初の飲みごろを迎える。穀雨とともに春が終わると、空は一転五月晴れとなり、鯉のぼりが悠然と泳ぐ季節を迎える。次の二十四節気といえば5月5日から始まる立夏、そしてこの日は端午の節句、こどもの日でもある。夏は、もうすぐそこまでやってきているようだ。