コロナの抗原検査

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f:id:yf-fujiwara:20220415175406j:plain[エッセイ 627]

コロナの抗原検査

 

 それは、町内の老人クラブが、3年ぶりに年次総会を開いた翌日のことだった。お昼頃からなんとなく熱っぽくなり、全身にだるさを感じるようになった。夜になってもおさまる気配がないので、熱を測ってみたら37度8分あった。風呂には入らず、とにかく寝ることにした。しかし、熟睡はできず、熱っぽさと倦怠感は朝まで続いた。起き抜けにもう一度測ってみたら、37度2分まで下がっていた。しかし、不快感は前夜からそれほど改善してはいなかった。

 

 朝9時過ぎ、近所のかかりつけの内科医を訪ねた。なにしろ、前日20人以上の人と交流を持っている。責任の所在はともかく、大事に至らないことを最優先すべきである。医院の入り口から顔だけ出して、「ちょっと熱っぽいのですが」というと、「中に入らないで!外で待っていてください」といわれた。一旦自宅に戻り、しばらく待機することになった。その医院から電話をもらったのは1時間近く経ってからだった。患者の診察や治療が一段落したとのことだった。

 

 診察や検査は、ビニールコートをまとった医師によって、すべてその医院の外で行われた。風は少しあったがそれほど寒さは感じなかった。検査は、「SARS-CoV-2抗原検出」というものだった。要するに、鼻の中の粘液を綿棒でぬぐい取り、反応カセットで抗原の反応が出るかどうかを見る方法である。15分ほどで結果が出た。陰性だった。やっと建物の中に入れてもらえた。たまに鼻風邪を引くことがあるので、疲れが溜まってそれに輪をかけたのかもしれない。

 

 ところで、コロナウイルスの検査についてはよく耳にはするがなんとなく聞き流していた。ついては、抗原検査、抗体検査そしてPCR検査について自分なりに整理してみた。抗原検査とは、検査したいウイルスの抗体を用いてそれが持つ特有のタンパク質(抗原)を検出する方法である。PCR検査に比べて検出率は劣るが、少ない時間で結果が出る。特別な検査機器を必要としないことから、速やかに判断が必要な場合などに用いられる。

 

 抗体検査とは、過去にそのウイルスに感染していたかを調べるものである。ウイルスの感染によって作られたタンパク質(抗体)が血液中に存在するかを調べる。体内に抗体ができるまでには時間がかかり、その時点でウイルスに感染していないとの証明にはなりにくい。なお、ワクチンを打てば抗体ができて陽性となる。そしてPCR検査とは、検査したいウイルスの遺伝子を専用の薬液を用いて増幅させる検査方法で、検査時点に体内にウイルスが存在するかを調べる。

 

 ちなみに、SARSとはSevere Acute Respiratory Syndromeの頭文字で、日本語訳は重症急性呼吸器症候群となる。とにかく、ちょっとでも怪しいと思ったら、重症化しないうちに検査を受けることが肝要である。

                      (2022年4月15日 藤原吉弘)