クラシック音楽の鑑賞会

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[エッセイ 488]
クラシック音楽の鑑賞会

 孫娘の通う学校の芸術鑑賞会があるというので、彼女の両親とともにクラシック音楽を鑑賞するために出かけていった。会場は東京オペラシティコンサートホール、あの新宿副都心に連なる高層ビル群の一番西の端にある超高層ビルである。演奏は、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が受け持った。演目は、エルガーの「威風堂々」第1番、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、それにサン=サーンスの「交響曲第3番ハ短調」だった。

 今回の芸術鑑賞会は中学生向けで、中・高一貫校の中学校部門の生徒全員が参加していた。一方の孫娘は高校の一年生に進級しているが、中学・高校合同の合唱部に所属している。もともと長女がそこで活躍していたが、高三に進級して引退したため、次女が後を継ぐ形で入部したようだ。今回は、オーケストラとの合同演奏に参加するため、高校生ながらこの催し物に加わることになった。彼女たち合唱部の出番は、「くるみ割り人形」の一部だった。そんな縁で、じいちゃんばあちゃんも、父兄の端くれとして鑑賞会に加わることになった。

 素晴らしい音楽ホール、80人規模の大オーケストラ、馴染み深い曲目、私たちはどんどん引き込まれていった。「威風堂々」は活力と迫力に満ち、私たちをいやが上にも元気づけてくれた。「くるみ割り人形」は、「白鳥の湖」とともにバレー音楽として私たちにも大変なじみ深い曲である。途中から孫娘たちの合唱も加わって、いっそう身近に感じられた。そして、サン=サーンスの「交響曲第3番」は、パイプオルガンの音色も冴え渡って私たちを幻想の世界へと誘ってくれた。久しぶりに別世界にどっぷりと浸ることのできた2時間超だった。
 
 平素、クラシック音楽をオーケストラの生演奏で聴く機会はめったにない。もちろん、機会を作り、お金さえ出せば東京なら毎日でも聴くことができよう。しかし、そこまで傾倒している人はまずいないだろう。生でなければ、名演奏はいくらでも耳にすることはできる。現に、NHKクラシック音楽館には必ずといっていいほどチャンネルを合わせるし、気分が向いたときはCDを気軽に楽しんでもいる。そうはいっても、生演奏はやはりそれだけの価値がある。まして、音響効果の優れた新鋭のコンサートホールならましておやである。

 孫娘の長女に続いて次女も結局合唱部に入って活躍している。今回の演奏会でも、後輩の中学生たちの牽引役として舞台の中央で頑張っていた。身内のひいきではあるが、後輩共々オーケストラに負けない素晴らしい演奏を聴かせてくれたと思う。親子三代の家族ではあるが、住居が別々であるため、普段はなかなか顔を合わせる機会がない。久しぶりに父兄である長男とお嫁さんにも会い、親交を交すことができ大いに満足している。
(2018年6月24日)