十月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](818)10/17
十月の風

 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。

 ・・・リーリーリーリーと涼しげな声がします。どうやらエンマコウロギの独唱が始まったようです。そういえば、チンチロチンチロはマツムシ、リンリンリンリンはスズムシ、キリキリキリキリはコウロギ、そしてガチャガチャガチャガチャと鳴くのはクツワムシのようです。

 日本では、万葉の昔から虫の鳴き声を愛でてきました。時代は下り、江戸も元禄のころになると、虫売りが商売として成り立つようになります。当初は、捕まえてきたものを店先で売っていたが、とうとう養殖まで始めたといいます。ごく普通の庶民が、お金を出してでも虫の声を楽しもうとする風潮が定着しはじめたのはこのころからのようです。

 たかが虫、されど虫。日本人の風流の原点に戻って、今夜も虫の声を楽しみましょう。・・・

 ところで、虫の声を愛でるという文化は、国際的にはどの程度普遍性があるのだろう。結論からいうと、そんな文化は他には存在しないらしい。一説によると、虫の声をサウンドとして風流を感じることができるのは、世界中で日本人とポリネシア人だけだという。他の外国人には、近隣の東洋人も含めただ雑音としか聞こえないそうだ。日本人の繊細さがこんなところにも現れているようだ。