大相撲藤沢場所

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[エッセイ 438]
大相撲藤沢場所

 先日、大相撲の、地方巡業の一環である「大相撲藤沢場所」を見物してきた。1990年に始まり、歴史を重ねて今年で24回目になるという。入場料は決して安くはないが、一般市民の熱い支持を得て大盛況であった。入り口で、弁当や座布団を受け取り、9時半ごろには2階の指定された席に着いた。

 プログラムによると、この日一日の流れは、ざっと次のようになっていた。
8:00~ 開場、寄せ太鼓、幕下力士のけいこ、力士と来場者の握手会
8:30~ 十両、幕内力士のけいこ、力士と子供のけいこ
11:00~ ー菫函Ы?鹵福∋庵別棔∨詁睥六里粒椴六瞭瓜
       ⊇蘋據∩衙仗啅隋∀β生檗髪結の実演、横綱綱締の実演
12:30~ 幕下、十両、幕内力士の土俵入り、3横綱の土俵入り
13:50~ 幕内上位力士16人によるトーナメント競技

 初切(しょっきり)では、禁じ手や珍しい決まり手をコミカルに演じて客を楽しませた。櫓太鼓で奏でられたのは、寄せ太鼓、一番太鼓、はね太鼓の三種類である。髪結では、栃煌山をモデルに大銀杏に結いあげた。横綱綱締の実演は、白鵬がモデルになって大勢の力士が締めあげる様子を開示してくれた。

 土俵入りでは、幕内力士が赤ちゃんを抱っこして登場した。なんでも、お相撲さんに抱っこされると、無病息災、健やかに育つという言い伝えがあるそうだ。横綱土俵入りは、3横綱すべてが次々と登場し、豪快な演技を披露してくれた。トーナメントでは、大関稀勢の里が関脇嘉風を破り優勝を果たした。

 大相撲の巡業を目にするのは、小学校のとき経験して以来である。かつて、「一年を二十日で暮らすいい男」という力士稼業の気楽さを揶揄する江戸川柳があった。江戸時代の大相撲は、一場所10日、1月と5月の年二場所制だったので、一年の内本場所に上がるのは僅か20日間ということだった。

 ところが、いまや本場所は15日間、年6場所制となり都合90日、春夏秋冬の地方巡業が年約65日、併せて155日となる。この間にいろいろな行事が入り、それを縫って厳しい稽古にも励まなければならない。地方巡業を70日まで増やそうという動きもあり、決して気楽な稼業ではなさそうだ。

 今回も5,650人の市民が詰めかけ満員御礼の垂れ幕が下げられていた。相撲の面白さは、華やかな伝統に裏打ちされた真剣勝負の醍醐味にある。体育館の粗末な椅子で一日中お付き合いするのは決して楽ではない。しかし、現場では、テレビでは味わうことのできない生の迫力がある。

 機会があれば、またぜひ彼らにお目にかかりたい。その時は、日本人横綱による土俵入りを見たいものだ。
(2016年4月17日)