ハロウィン

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[エッセイ 428]
ハロウィン

 この1ヵ月、お店と名のつくところならどこでも、「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれるカボチャの飾りが見られた。渋谷では、この夜に備えてDJポリスが待機し、公園には着替えの施設まで用意されるという。ハロウィンは、とうとうここまで世間に認められるようになったということだろうか。

 そのハロウィンの経済効果は、4年前の2倍、1,200億円に達すると予測されている。なんと、バレンタインデーのそれを超える規模である。仮装の衣装やメイク、さらにはグッズなど裾野の広がりが大きいことから、両者の差はさらに広がり、いずれクリスマスに迫るだろうといわれている。

 ところで、このハロウィンは古代ケルト人の大晦日が起源になっている。ケルト暦では、10月31日が大晦日に当たり、この1年最後の日に、死者の霊が家族のもとに帰ってくると信じられている。ところがそのとき、有害な霊もあの世から一緒に降りてくる。そこで、悪霊を追い払うために、それらが怖がりそうな格好をして身を守るのだそうだ。

 ケルト人が考えた悪霊の怖がりそうなものとは、魔女、コウモリ、黒猫、ゾンビ、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインなどなどである。あわせて、魔よけのランタンを灯したり、焚き火をたいたりしたという。まるで、提灯を灯して先祖の霊を迎えるお盆だったり、豆をまいて鬼退治をする節分だったりと、日本の伝統行事との類似点も多い。ハロウィンの起源は秋の収穫祭ともいわれているので、新嘗祭もついでにやるようなものかもしれない。

 これら行事の翌日、11月1日はキリスト教諸聖人の日(古い呼び名は万聖節、英語名はAll SaintsまたはAll Hallows)に当たる。ハロウィンがその前夜であることからAll Hallows’ Eveと呼んでいたそうだ。それがHallow eveに短縮され、とうとうHalloweenと呼ばれるようになったということである。

 このハロウィンは、アイルランドあたりのケルト人の国からイギリスへ伝わり、20世紀初頭からは広くアメリカで行われるようになった。アメリカでは、子供たちが魔女やお化けに仮装して家々を回り、「Trick or treat」(お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ)といってお菓子をせびる。各家庭では、カボチャのお菓子を作って子供たちに与える。子供たちはもらったお菓子でハロウィンパーティーを楽しむ。これまた、日本の「亥の子」のようなものだ。

 なぜ、ハロウィンがこれほどまでに日本で盛んになったのだろう。人はみな変身願望をもっているからだろうか?現実逃避の欲求がこういう行動に駆り立てるのだろうか?なぜ、みなの繰り出す先が渋谷や六本木なのだろう?

 それにしても、お天気がよくてなによりだった。
(2015年10月31日)