十三夜の邦楽の夕べ

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[風を感じ、ときを想う日記](722)10/26
十三夜の邦楽の夕べ

 昨夜は十三夜、円に近いお月さまが早い時間から東の空で輝いていた。旧暦八月十五日の中秋の名月を楽しんだ人は、九月十三日の十三夜も愛でなければならないという。なんでも、片見月は好ましくないのだそうだ。今年は、両日とも雲に邪魔されることもなく、その言い伝えをきちんと守ることができた。

 加えて昨夜は、白旗神社の境内で催された邦楽の調べも楽しむことができた。今年で8年目になるという馬場信子さんの琴のほか、近年は善養寺恵介さんの尺八やよしうらけんじさんのパーカッションも加わって、いっそう多彩なコンサートになった。

 月明かりのもと、神社の境内で聴く和楽器の音色はまた格別であった。出だしの尺八は、照明をすべて消し、本人も姿を見せず、音だけ流すというちょっとキザっぽい演出だった。馬場さんの琴は、本人も、琴の音色さえも照明に鮮やかに浮かび上がって聴衆を魅了した。

 和楽器の独奏は、それぞれに特有の雰囲気があるが、パーカッションの加わった合奏も独創的で聴き応えがあった。本来なら和太鼓の出番となるところだろうが、意表を突く組み合わせでリズムの乗りもいっそう軽やかだった。

 それにしても、この夜は寒かった。周りにストーブも数台用意されてはいたが、枯れ葉を舞い上げる木枯らしには慰めにすらならなかった。