洗濯機の買い替え

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[エッセイ 411]
洗濯機の買い替え

 今年最後の日曜日、洗濯機を操作していた家内がなにか叫んでいた。「お父さん、洗濯機の前になにかこぼしたの?」。呼ばれてそこを覗いてみると、洗濯機の下に薄いお茶のような液体が溜まっていた。その液体は洗濯機本体の下にまで続き、一面の水溜りになっていた。おそらく、排水パイプの付け根部分が外れかかっているか、それ自体に亀裂でも入っているのだろう。

 すぐにも、ホームセンターで新しいものを買ってきて付け替えることにしよう。そんなことを考えながら、洗濯機本体をひっくり返してみた。排水パイプに異常は認められなかった。その他の部分も、素人目に悪いところは見当たらなかった。これ以上、自分自身では手の打ちようがない。それにしても、この暮れの押し詰まったときに故障するなんて、なんとタイミングの悪いことか。

 メーカーのサービス部門に電話してみた。「2005年製ですと、もう部品を切らしている可能性があります。年内にお伺いすることは出来ますが、部品が手当てできず修理を断念していただくこともあります」。せっかくサービスマンに来てもらっても、出張料だけ取られてそのまま帰られたのではかなわない。おまけに、洗濯できないまま正月明けまで待つことになってしまう。

 修理は断念し、新しい品物を年内に届けてもらえる店を探すことにした。その足で、市内で一番大きい家電量販店に行ってみた。わが家の購入条件は二つ、その一つはすぐにも届けてもらえること。そしてもう一つは、製品の間口寸法がいままで使っていたものと同じかそれ以下であることだった。設置スペースにはゆとりがあるが、手前に洗面台があって搬入経路の幅が狭いためだ。

 店の展示品群は、この9年間に面目を一新し、外形寸法は一様に大きくなっていた。わが家の条件に合うものは、中国ブランドの、それもただの一種類だけだった。いままで使ってきた日本の有力メーカーのものと、寸法から機能までほとんど同じ、おまけに価額までが9年前のあのときと同じだった。あれこれ迷う必要などまったくなかった。その場でそれを注文した。

 その翌日に当たる、月曜日の午前中に品物は届いた。中国製だからといっても、いまや白物家電では世界のトップブランドである。アフターサービスに一抹の不安はあったが、今までの国内有力ブランドでも結局はなんの役にも立たなかった。中国製を、使い捨て感覚で愛用することにした。

 昨年の暮れには電話機が壊れ、おまけに新しく入れた機器の設定がうまくいかずてんやわんやしてしまった。明けて今年のお正月過ぎには、今度はエアコンが壊れてまた一騒動あった。今年の暮れこそ大丈夫だろうと思っていたが、結局この騒ぎ、年の瀬はやはり安穏とは渡らせてもらえないようだ。
(2014年12月29日)