期日前投票

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[エッセイ 410]
期日前投票

 衆議院議員選挙の日、高校同窓生のゴルフコンペが予定されていた。ゴルフ場が遠方で、時間的にみて投票には行けそうになかった。そこで、期日前投票の制度を利用することにした。さいわい、前々日の金曜日に市役所の近くに用事があったので、その機会を利用することにした。

 事前に送られてきた投票所入場整理券には、期日前投票の案内も同封されていた。それによると、投票日当日投票ができない人は市内6カ所の期日前投票所において投票することができるとあった。その投票所とは、市役所、ならびに市役所から比較的距離のある各市民センターがあてられていた。

 期日前投票を希望する人は、送られてきた投票所入場整理券の裏面に必要事項を記入して持参すれば事前に投票できる。投票できる日は、市役所が投票日12日前からの前日までの11日間、その他の所が前日までの8日間であった。入場時間はそれぞれ午前8時30分から午後8時までとなっていた。 

 その日、11時過ぎに市役所に着いてみると、投票したい人で列ができていた。結構な混み具合である。投票所の風景はいつものその光景と全く同じであった。おまけに、玄関を出たところには新聞社の記者が待機していて、投票を済ませた人に出口調査と思しきインタビューまでしていた。

 いままで、期日前投票などというものはやったことがないので、その制度そのものにまったく関心がなかった。ただ、古い記憶では、「不在者投票」というのが頭の片隅に残っている。いつの間に、「期日前投票」という制度ができたのだろう。必要がなかったとはいえ、知らないこと自体お粗末な話である。

 この期日前投票というのは、不在者投票制度のうち、「投票日前なら同じ市町村内で投票できる人」に便宜を図るために設けられた制度のようだ。11年前の2003年12月から導入されているそうだ。この期日前投票制度の元になっている不在者投票制度は、適用対象者を縮小していまも存続しているそうだ。

 今回の総選挙で期日前投票をした人は1,315万人、全有権者数に占める割合は12.6%だったそうだ。2012年の前回の衆院選に比べると9.2%増えたことになるという。ただ、過去最多の記録は2009年の衆院選の1,398万人で、このときの全有権者に占める割合は13.5%だったそうだ。

 それにしても便利な制度である。早くから予定が組まれており、どうしても変更できない人には救いの神といえよう。それでも、中には「平日は云々」という人がいるかもしれないが、土曜日も2回組み込まれており、しかも期間通して午後8時まで投票が可能である。棄権などという愚挙は避け、ぜひこの制度を利用して、政治に対する明確な意思表示をしたいものだ。
(2014年12月18日)