コロナというブランド

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[エッセイ 586]

コロナというブランド

 

 行きつけのスーパーで、CORONAブランドの車をよく見かける。同じ車のようだが、止めてある場所までほぼ同じである。運転者の顔は見たことはないが、車の年式からかなりの年配だろうと推測される。ただ、その所有者は、その車の名前ゆえに、周囲からコロナ禍のマイナスの影響を受けているかもしれない。

 

 他の人はともかく、私自身はむしろその車に親近感を持っている。実は、わが家の車はトヨタのALLIONブランドで、CORONAの末裔に当たる。ただ、そのご先祖は、20年前のモデルチェンジを機にPREMIOと変えられた。ALLIONはPREMIOの姉妹車で、フロント部分以外はほとんど共通である。

 

 実はわが家には、昔からCORONAブランドがもう一つある。以前は石油ストーブ、そして近年は寝室に設置しているエアコンである。6畳用の小型だが、国産にこだわっているうちにこの機器に行き着いた。もう新しくはないが、夏も冬も、わが家族の快適な生活を守るために頑張ってくれている。

 

 このコロナという名前はごく一般的なので、企業名はもちろん商品名にもたくさん使われているのではなかろうか。ある調査機関によると、そう名乗っている法人は全国に約300社あるという。ところが、私がいま思い当たるのは、わが家に関連のあるあの2つのブランドだけである。

 

 それではと、ネットで企業名を拾い上げてみた。製造業では、(株)コロナ:冷暖房機器メーカー、コロナ工業(株):循環温浴システムメーカー、コロナ電気(株):医療機器メーカーの3社の名前があった。その他の業種では、(株)コロナワールド:娯楽施設、(株)大阪コロナホテル:ホテルの2社だけだった。これらの企業は、コロナ禍にどう対処しているのだろう。

 

 ところで、コロナに罹患した人やその家族への差別やいじめあるいは嫌がらせは一向に後を絶たないようだ。極端な場合は、感染多発地域からの出社はすべて拒否といったパワハラまであるという。「近寄るな」といった言動や、くしゃみをした人への謝罪要求などは、いろいろな場所で日常的にみられるようだ。

 

 これに対し、厚生労働省や県、市町村でも相談受付窓口を設けている。本当に困っている人は、一度電話をしてみるといい。弁護士事務所や探偵社も名乗りを上げているが、こちらは費用を伴うので慎重に考えてみる必要がありそうだ。

 

 あの駐車場で出会うCORONAも、いわれのない罵声を浴びせられたことがあるかもしれない。車体には、傷の一つも付けられたかもしれない。ここは一つ、「逆もまた真なり」とばかりに、「コロナ禍はCORONAをもって制す」とアピールしてみてはどうだろう。CORONAはコロナ禍に打ち勝ち、幸運をもたらす車だ!CORONAのマーク入りキーホルダーは地上最強のお守りだ!と。

                      (2021年3月14日 藤原吉弘)