肺炎の予防注射

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[エッセイ 405]
肺炎の予防注射

 ある日、かかりつけのお医者さんから肺炎の予防接種を勧められた。私は肺炎に対してかなりナーバスになっている。もう半世紀も前だが、弟が小学生のころ、急性肺炎であっけなく亡くなってしまったからだ。そんなことから、お医者さんの勧めに、すぐにも受けたいと前向きに返事をした。

 肺炎の予防注射、正式には肺炎球菌ワクチン予防接種というそうだが、それを受けることについて、わが市でも高齢者に奨励し助成もしているそうだ。ただ、予算のこともあってだろう、希望者は市役所に対して個別に申請することになっている。申請書はその医院にも備えられていた。

 まもなく、市役所からOKの返事とともに「助成券」が送られてきた。それを持って、指定のお医者さんに行けば予防接種が受けられるという。総費用は8千円あまりだが、本人負担は2,400円でできるという。さっそく、いつものお医者さんで予約を取り、1週間後に接種を受けた。

 いまさらながらだが、肺炎とは一体何だろう。肺炎とは、肺にウイルスや細菌が入り込み炎症を起こすことをいうそうだ。その外敵の代表格が肺炎球菌で、原因の28%を占めている。ただ、通常は身体に抵抗力があって、これらの外敵が侵入してきてもすぐ退治して大事には至らないそうだ。

 ところが、他の病気にかかっていたり、ひどく疲れていたりして抵抗力が弱くなっていると肺が炎症を起こしてしまう。高齢者は総体的に抵抗力が弱くなっているので、ちょっとしたきっかけでも肺炎にかかってしまう。肺炎による死亡者のうち、なんと96.5パーセントが65歳以上の高齢者だそうだ。

 肺炎にかからないようにするには、大きく3つの方法があるという。1つ目は、マスク、うがい、手洗い、歯磨きなどで外敵が体内に入り込まないようにする。2つ目は、規則正しい生活や運動などによって体調を整え、外敵への抵抗力を強化する。そして3つ目が予防接種ということになる。

 予防接種は、肺炎球菌ワクチンがもっとも一般的である。肺炎の原因は、肺炎球菌によるものが28%と、全体の4分の1以上を占めているためだ。また、インフルエンザの予防接種も肺炎予防に効果的だという。インフルエンザ菌による肺炎が7.5%もあり、原因の2番目を占めているためだ。

 その日、市役所からの助成券を持って、いつもの医院に出かけていった。体温を測り、医師の診察を受けて、予防接種に耐えられることを確認した上でそれを受けた。さらに、接種後の大事をとって、別室で30分間待機させられた。

 これで、3週間も経てば抗体ができ、その効力は5年間持続するという。ただ、これで安心はできない。肺炎の28%を予防できるに過ぎないのだから。
(2014年9月3日)