電話機の買い換え

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[エッセイ 383]
電話機の買い換え

 ある日、ファックスの受信中、ガタガタという音がして用紙が送られなくなった。点検してみると、紙送りの歯車が一つ壊れていた。このファックス機能付き電話機は、購入後すでに15年くらい経っている。電子機能はともかく、機械機能の部分は使う側をいつもイライラさせていた。過去に一度、1万円近くかけて修理したが抜本的な改善にはなっていなかった。

 この際買い換えよう。JR駅前の大型店で、ファックス機能つき、子機1台つきの電話機を1万円台半ばで購入した。こんな値段なら、あのとき買い換えておけばよかった!セッティングを終え、お試し通話やファックスの送信もやってみた。すべてが順調だった。機器は、以前より小さくスマートで、色合いもリビングルームによくマッチしていた。呼び出し音の音色も心地よかった。たかが電話機一つで、新しい生活が始まったようにさえ感じられた。

 翌朝、電話をしようと受話器を取り上げたら、ウンともスンともいわない。普通なら、ツーという音がするはずなのになんの反応もない。取扱説明書の「電話をかけられないとき」の対応策についてあれこれやってみたがうまくいかない。もちろん、NTT やIP電話の116番に相談してみたが無駄だった。

 試しにと、子機を使ってみたら正常に動いた。親機のディスプレーには、「外線使用中」という表示も出ている。その子機を使ってメーカーに電話してみることにした。先方の、係員の指示に従い、ああでもないこうでもないと何度も試してみた。数十分後、苦心の甲斐あってやっと使えるようになった。

 その日の夕方、親戚に電話しようとしたら、電話機はまた同じ状態に陥っていた。すぐ、子機を使ってメーカーに電話した。先方も、いままでの経緯はわかっていた。どうやら不良品らしい。購入した販売店で取り換えてもらってほしいということになった。メーカーからその店に指示してくれといったら、それはできないという。押し問答を繰り返したが、先方の態度は固かった。

 やむなくこちらから販売店に電話し、すぐ代わりを持ってこいといった。配送の都合で3日後になるという。「あなた、電話機なしで3日間も過ごせますか?」その問いかけに理解は示すものの、できないものはできないという。

 結局、私自身が交換に行くことになった。代替品の取り付けは簡単に終わった。それまでうまく使えなかったため、いろいろなことを試してみたおかげでもある。今度は、通話もファックスもなんの問題もなかった。

 いままで使っていた電話機は、いまは別の会社に吸収合併された会社の製品だった。吸収した方の製品なら絶対大丈夫だろうと思っていたが、結果はこの程度の品質であり、顧客対応にもたいした進歩は見られなかった。
(2013年12月13日)