運転免許・高齢者講習

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[エッセイ 382]
運転免許・高齢者講習

 県の公安委員会から、「講習予備検査・高齢者講習のお知らせ」というハガキが届いた。運転免許の更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の人は、道路交通法により、講習予備検査の受検と高齢者講習の受講が義務付けられている。ついては、更新手続きの前に、指定の自動車学校でそれらを済ませるように、という趣旨であった。受検、受講には予約が必要だという。

 さっそく、指定先の自動車学校に電話してみた。混みあっているので、ちょうど2カ月半先になるという。そして、やっとその日がやってきた。最初に受けさせられたのは、講習予備検査と呼ばれる認知機能の検査だった。いきなり、今日の年月日と曜日を用紙に書きなさいといわれた。アレッ?と思ってちょっと迷った。あとで調べてみたら、一日早い日付を書いていた。

 次に、動物や日用品の絵を16種類見せられた。それを仕舞った上でいま見た絵の名前を覚えている限り列挙しなさいという。結果は10種類しか書けなかった。次のページには、その絵のヒントが挙げられその横にあらためて名前を書きなさいとあった。さすがに今度は全問正解することができた。

 認知機能検査の最後は、時計の文字盤を紙いっぱいに描きなさい、それが終わったら11時10分のところに時刻の針を書きこみなさいという問題だった。あとで渡された認知機能の成績表には、合計85点とあった。76点以上なら、記憶力、判断力ともにまったく問題ないということでひとまず安心した。ちなみに、49点未満の人はお医者さんと相談してくださいということだった。

 高齢者講習については、講義のほか、視力、動体視力、そして機械による運転適性検査も行われた。私のデータは、中年とほぼ同等の力を維持していることを示していた。屋外のコースでは、実車による技能検査が行われた。こちらもまったくミスはなく、普段通りの安全運転ぶりを披露することができた。

 今回のことで、あらためて自身の適正と技能を客観的にチェックすることができた。まだ当分大丈夫だという自信も得ることができた。ただ、この先、こうした能力は急速に落ちていくという。自身はもとより、周りの人からもチェックしてもらえる仕組みを作っておく必要がありそうだ。

 この講習は、適性を本人に自覚させるにはいい制度と思う。しかし、本当にこれだけ多くの時間と費用をかけなければならないのだろうか。検査と講習のためだけで正味3時間、往復や手続きの時間を併せると完全に一日仕事である。それに、付帯費用が締めて6千円、けっして少ない出費ではない。

 高齢化のいっそうの進展が、自動車学校の経営にも深刻な影響を及ぼしているという。まさか、その救済策として導入された慈善事業ではないはずだが。
(2013年12月10日)