ゆるキャラ

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[エッセイ 361]
ゆるキャラ

 先ごろ開かれた「ゆるキャラグランプリ2012」で、わがふる里、山口県のマスコットキャラクター「ちょるる」が第2位に入った。ちょるるの第一印象は、目のくりくりした元気はつらつの坊やといったところである。ちょるるとは、方言の「ちょる」(~している)をもじったものだとされている。
 
 “山”をイメージしたという大きく3つに分かれた緑色の髪型、色白の丸顔に大きな黒眼、頭部だけで“山口”を表わしているという。それを支える胴体は健康そのもの、日焼けした素肌に赤い吊りズボンがよく似合う。脚先の白靴がアクセントになって、まるで小学生の体操選手のようだ。

 ちょるるは、2011年に開かれた「おいでませ!山口国体」のマスコットキャラクターとして誕生した。国体終了後は「おいでませ山口観光宣伝部長」に任命され、知事の交代した今年の10月からは「山口県PR本部長」に任命され地域おこしに活躍中である。

 今年で3回目を迎える「ゆるキャラグランプリ2012」には、全国各地から865のゆるキャラがエントリーした。グランプリに輝いたのは、愛媛県今治市の「バリィさん」だった。焼き鳥が大好きなトリで、「焼き鳥の町」今治をPRするために生まれてきたのだそうだ。このグランプリの2位は「ちょるる」、3位は群馬県の「ぐんまちゃん」だった。

 ところで、この「ゆるキャラ」というのは一体何だろう。ゆるキャラとは、「ゆるいマスコットキャラクター」を略したものだ。この活動の中核団体の説明によると、ゆるキャラとは、各種イベント、キャンペーン、地域おこし、名産品紹介など地域全般および情報PR、企業、団体のコーポレートアイデンティティなどに使用するマスコットキャラクターのことだそうだ。

 具体的な必須条件は、ゞ薪攬Δ頬?前遒譴振いメッセージ性があること、⇔ち居振る舞いが不安定かつユニークであること、0Δ垢戮、ゆるさ、を持ち合わせていること、そして、地方の村おこしや地域振興のための、原則としてかわいく着ぐるみ化されたキャラクターであることだそうだ。

 この活動の中核団体(社)日本ご当地キャラクター協会は2009年2月に発足した。本部はあの「ひこにゃん」を生んだ滋賀県彦根市、下部に「ゆるキャラグランプリ実行委員会」を置いている。なにやらマイナーな雰囲気もしないでもないが、地域振興の観点からはかえって好ましいのではなかろうか。

 それにしても、愉快なものがはやり出したものだ。着ぐるみの中に入る人にとって、冬は天国でも夏は地獄であろう。それでも、これで少しでも地方が活性化してくれば、国全体にとっても大きなプラスになるのではなかろうか。
(2012年12月14日)