実家のお盆

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[風を感じ、ときを想う日記](524)8/17
実家のお盆

 いま、実家には、住む人はだれもいない。代わりに、ご先祖さまが遠くからしっかりと見守ってくれている。そして年一回、お盆になると帰ってきて、直に見てくれる。そこへ私も合流して、ご先祖さまと一緒に見守ることにしている。昨年から始まったわが家の新しい実家見守りシステムである。

 ご先祖さまに実家に帰ってきてもらうには、少しばかり準備が必要である。まずは、その位置がはっきりと分かるような目印を用意しなければならない。目印とは、菩提寺から支給された吹流し風の旗である。ご先祖さまは、軒下に吊るされた旗を目当てに、迷うことなく帰ってこられる。

 次は、わが家に居てもらう間の滞在場所の確保である。お盆の間は、仏壇とは別に特別の祭壇を用意する。そこには、野菜や果物、あるいはお菓子なども供えられる。祭壇は極めて質素なものになったが、心はこもっているので、ご先祖さまには十分満足いただけたはずである。

 お盆をはさむ一週間、前半はご先祖さまを迎えるための準備期間に充てた。お盆の間は、ご先祖さまと一緒にわが家の安寧をお祈りした。そして後半は、ご先祖さまの労をねぎらい、星の彼方へとお見送りした。

 こうして、お盆をはさむ一週間の帰省は静かに過ぎていった。来年も、ご先祖さまと一緒に、穏やかなお盆が迎えられることを祈っている。