グラウンドゴルフの合宿研修

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[エッセイ 347]
グラウンドゴルフの合宿研修
 
 たまに、バス旅行に参加することがある。そんなとき、帰りはたいていみな眠りこけている。日帰りでも、一泊旅行でも、あまり例外はない。ところが、今回の一泊旅行は、最後までおしゃべりが絶えなかった。いくらご近所の仲良し同志とはいえ、決して若いとはいえない人たちなのに・・。

 私の所属する町内のグラウンドゴルフのクラブでは、今週初め一泊二日の合宿研修に出かけた。参加者は26名、平素活躍している会員の、半ば近くの人数である。みんなの平均年齢は75歳少々だが、女性が半数を超えていたことが、この団体の活力アップにつながったのかもしれない。

 小型貸し切りバスは、満員の客を乗せて9時にわが街を出発した。行き先は裾野市の温泉付きスポーツ・レジャー施設である。一泊四食、飲み放題歌い放題、プレー代からバス代まで、全部ひっくるめて大1枚半である。年金受給者にとっては決して安くはないが、思い切ればなんとかなりそうな金額でもある。

 施設専用のグラウンドゴルフ場は、緑に囲まれた静かな所にあった。山あいの緩やかな傾斜地に、天然芝がきれいに張られている。ゴルフコースの、ラフの部分を短く刈り込んだようなものだ。土と草原で構成されたわがホームグランドとは、まったく別世界の恵まれた環境だった。ここで、一日目は団体戦を4ゲーム、二日目は個人戦5ゲームを予定していた。

 グランド全体が同じ方向に傾斜している。たとえゆるやかであっても、ボールを転がせば傾斜の影響をもろに受ける。打ち下ろしと打ち上げでは、球の転がる勢いは天と地ほども違う。横向きに転がすときは、球は谷方向に大きくカーブする。芝目の向きによっても、球の転がりは微妙に影響を受ける。傾斜といい、芝目といい、プレーヤーを大いに悩ますことになる。
 
 ホテル自慢の露天ぶろは疲れた体に心地よかった。富士の裾野にあって、相模湾にも近いせいか、海の幸、山の幸もふんだんに用意されていた。もちろん、それらに付随するおもてなしも、みんなの期待に十分応えられるレベルだった。二次会に向かう前、何年ぶりかでホタルの群舞も楽しむことができた。

 グラウンドゴルフのプレーは、初日の午後と二日目のお昼まで、お天気にも恵まれて存分に楽しむことができた。二日目は、疲れた人は4ゲームで切り上げてもいいということだったが結局全員がやり遂げた。この二日間、合宿研修を通してみんなで新たな体験と感動を共有することができた。そして、一人のけが人や落後者もなく、新しい思い出を持ち帰ることができた。

 同じ釜の飯も、酌み交わすお酒も、運命共同体のバス旅行も、互いの距離を大きく縮める。そして体験と感動の共有が、町内の絆をいっそう強くする。
(2012年6月8日)