花吹雪

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[風を感じ、ときを想う日記](501)4/13
花吹雪

 今年は、サクラの一番見ごろのときに、花見の機会をつくることができなかった。3回も春の嵐に見舞われ、4日間の帰省とも重なってしまったのだ。昨日の木曜日、やっとそのチャンスが巡ってきた。もう遅いかなとは思ったが、とにかく出かけて見ることにした。行先はもちろん大庭城址公園である。

 コンビニに立ち寄り、「お花見弁当なんていうのはあるの?」と聞いてみた。しかし、それは最初から無理な相談だった。ノリ巻きとお稲荷さんがセットになったもの、それに大根ときゅうりの浅漬けを買い求め階段を上っていった。

 サクラは峠を越えようとしていた。いままで、花はサクラに限らず満開一歩手前が見ごろだと信じて疑わなかった。ところが、花が散りはじめた頃もなかなか見ごたえのあるものだとわかった。八、九分咲きが二十歳前後の娘だとすると、花びらを散らし始めたあたりのそれは熟女にも例えられる。

 その熟れきった容姿に、散りゆく寂しさが翳りをつくり、大人の女性の雰囲気を醸し出している。そこに、春風に乗って舞う花びらは、艶姿の熟女に花以上の華を添えているように見える。お伴をしてくれた家内も、こんなすごいサクラを見るのは初めてだといって、その絢爛豪華な風情を堪能していた。

 陽光は燦々と降り注ぎ、花びらを乗せた春風が木陰をさわやかに吹き抜けていく。散りゆくサクラにこそ、日本人の本当の心が映し出されているようだ。