冬のゴルフ

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[エッセイ 6](既発表 7年前の作品)
冬のゴルフ

 西高東低の気圧配置が強まり、冷気がすっぽりと日本列島を覆っていた。北西の風は雲やチリまできれいに吹き飛ばし、冬空は透明な深みを際立たせていた。そんなお天気の先週日曜日、久しぶりにホームコースの月例ゴルフコンペに参加した。

 1番ホールは、朝日を浴びてきらきらと輝いていたが、風の冷たさに思わず身を縮めてしまった。私の最初のショットはフックボールとなり、左の林に転がり込んでいった。体が硬く、体重が後ろに残ったまま打ったためである。2打目は、そこからピッチショットでうまく脱出できた。続く3打目は、トップして数ヤードしか転ばなかった。地面が凍りついているのが分かっていたので、軽く撫でるように打つつもりが逆に力が入ってしまったようである。

 次のショットは快心の当たりであった、しかしボールはキックが悪く無情にもガードバンカーに捕まってしまった。そこからのショットは、クラブが凍りついた砂にはじき返えされ、ボールは勢いよくグリーンを駆け抜けていった。次のアプローチはうまく寄ったが、パットが入らず結局それを活かしきれなかった。

 パー4の1番ホールは、奮闘の甲斐もなく惨めな8となってしまった。他の同伴者3人も結局似たり寄ったりのスコアであった。私達はこのような結果に出鼻をくじかれ、それをリカバリーできないまま最後まで引きずってしまった。いうまでもなく、誰も上位に入賞することはできなかった。

 冬の間、筋肉は硬くなっておりおまけにたくさん着込んでいる。体はスムーズに回転できないし、もちろんクラブもうまく振れない。風は強いし冷たい。スイングはおのずから早くなり、力みを誘ってミスショットの原因となる。打った球は力なく風に流されていく。クラブは凍りついた地面に跳ね返えされ、打ったボールはあらぬ方向に跳ねていく。せっかくグリーンに乗っても、ボールはなかなか止まらず結局こぼれてしまう。

 寒い時のゴルフは必ずしも健康によくない。昔聞いたところによると、アメリカのアイゼンハワー大統領は、心臓病のトラブルを避けるためにグリーン上でのパッティングをやらなかったという。極端なストレスと過度の緊張は高血圧や心筋梗塞あるいは突然死の原因となり、寒さはそれに大きな輪をかける。私も、冬のゴルフで肘をやられ腱鞘炎で長い間不便な思いをしたことがある。

 真冬に寒い思いをして、高いプレー代と税金を払ってまでゴルフをやる必要性はどこにも見当たらない。それでも、ぶつぶつ不平不満をいいながらもなぜか結構混みあっている。真冬にどうしてもゴルフをやりたい時は、しっかりと準備体操をして、プレー中は絶対無理をしないことが肝要である。
(2003年1月23日)