陽の極まれる日

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[風を感じ、ときを想う日記](295)9/9
陽の極まれる日

 今日、9月9日は五節句の一つ・重陽(ちょうよう)にあたる。旧暦に置き換えると、菊の季節にあたることから菊の節句としてお祝いされている。

 中国の陰陽思想では、陽数(奇数)は縁起のいい数と信じられている。その陽数の最大値は「9」である。9は一桁数の終わりにあたることから、無限や再生を意味し、長寿若返りに通じると考えられている。その9が重なる9月9日が、一年でもっとも縁起のいい日ということになる。

 陽数の重なった日は1年に5回あり、日本でもその日を節句としてお祝いしている。1月7日の人日(じんじつ=七草の節句)、3月3日の上巳(じょうし=桃の節句)、5月5日の端午(たんご=菖蒲の節句)、7月7日の七夕(しちせき=七夕まつり)、そして9月9日の重陽(菊の節句)である。

 人日だけは1月7日になっているが、これは1月1日があまりにも特別な日なので、人を占う最初の日にあたる7日を代わりにあてたという。

 それにしても、一年で一番縁起のいいはずの重陽が、すっかり忘れ去られているのはなぜだろう。一つには、菊の節句といいながら、菊の季節とかけはられてその実感が伴わないためかもしれない。あと一つは、9が「苦」に通じることから、それが二つも重なるので忌み嫌われるのかもしれない。

 なにごとにも、裏表や陰陽はつきものである。この9月9日も前向きにとらえ、再生や長寿若返りの第一日と考えてみてはどうだろう。