グランド・ゼロ
ニューヨークの世界貿易センター（ＷＴＣ）が同時テロに襲われたのは、８年前の２００１年９月１１日であった。ここには、高さ４１７メートル、１１０階建てのツインタワーと、ほかに５棟のビルが建っていた。グランド・ゼロとよばれるその跡地には、あのときの犠牲者２,７４９名の魂も眠っている。
グランド・ゼロの再開発計画では、高さ５４１メートルの“フリーダム・タワー”を中核に、周辺にいくつかの低いビルが配置されることになっている。ツインタワーのあったあたりには、ビルと同じ正方形のツインの池が配置される。しかし、工事そのものは遅々として進んでいないという。昨年の金融危機の影響もあって、その遅れはさらに深刻になっていると聞く。
テナントがなかなか集まらないことから、中核ビルの名前も政治色を一掃し“１（ワン）ＷＴＣビル”に改めたという。それでも、完成予定は２０１１年から２０１３年に延び、さらに２０１８年になるのではという説もある。跡地全体の完成は２０３７年になるのではないかという悲観的な観測も流れている。
グランド・ゼロの再開発が完成したとき、初めて同時テロを克服したということがいえるのではなかろうか。それにしても、名実ともにまだまだ多くの時間が必要なようだ。
