重陽の日

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[風を感じ、ときを想う日記](198)9/9
重陽の日

 古来より、中国や日本では、陽数(奇数)を縁起のいい数として扱ってきた。このため、3月3日や5月5日のように陽数の重なる日を節句としてお祝いした。一年に5回あることから、まとめて五節句とよばれている。

 今日9月9日は、五節句の最後に登場する重陽節句である。旧暦では菊の咲くころなので、別名菊の節句ともよばれお祝いされている。9は陽数の中でも最も数が大きく、究極の吉数とされている。それが二つ重なったこの日は重陽の日とも呼ばれ、一年で最も縁起のいい日と信じられている。

 この節句の大儀は敬老であり、その願いは不老長寿である。中国では、この日、グミの実を入れた袋を携え、家族や友人と小高い丘に登ったそうだ。そこで、菊の香りをうつした酒を酌み交わし、邪気を払って長命を願ったという。

 ところで、五節句は7月7日というように陽数の重なる日があてられているが、1月の人日の日だけは7日ということになっている。古代中国では、新しい年の獣畜や人の運勢を、元旦から毎日一種類ずつ占ったという。鶏から始まり、人の順番は7日目だったそうだ。お正月は元旦からなにかと行事が重なるので、それを理由に7日にずらしたのではなかろうか。

 日本では、ほとんど顧みられなくなった重陽節句であるが、たまにはこうした古い風習に触れてみるのもまた一興ではなかろうか。