クマゼミの北上

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[風を感じ、ときを想う日記](190)8/21
クマゼミの北上

 久しぶりに、近所でクマゼミの鳴き声を聞いた。一匹だけだったので迫力はイマイチであるが、「シャ、シャ、シャ、シャ、」というあのまくし立てるよう声はまぎれもなくクマゼミのものである。帰省中はうんざりするほど聞かされていたが、関東ではめったに耳にすることのできない激しい鳴き声である。

 7月下旬、大相撲名古屋場所が終わった翌朝だったと思う。横綱白鵬が木陰で優勝インタビューを受けていた。その背後で、クマゼミたちが激しく鳴いているのにびっくりした。名古屋は、すでに彼らの定住地になっているようだ。

 クマゼミは西日本、ミンミンゼミは東日本とはっきり棲み分けられていたように思うが、その境界線がだんだんぼやけてきたようだ。ぼやけてきたというより、クマゼミが一方的に東日本に押し寄せてきているようである。

 地球温暖化とともに稲の適地がだんだん北上しているように、クマゼミの適地も同じ方向に動いているようだ。しかし、彼らの移動距離はきわめて限られた範囲のはずである。一説によると、九州あたりから植木として運ばれてくる楠の根っこに、クマゼミの幼虫が寄生したまま一緒にやってきているのではないかといわれている。

 人間は、思わぬところでまで生態系の混乱に手を貸しているのかもしれない。