セミの鳴き声

[風を感じ、ときを想う日記](918)9/8

セミの鳴き声

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 朝のうち、あれだけうるさかったクマゼミの鳴き声が、初秋のいまではまったく聞かれなくなった。この種類は、もともと関東にはいなかったはずだが、その幼虫が植木の根っこにくっついて東日本に運ばれ繁殖したらしい。事実、半世紀前には、関東であのけたたましい鳴き声を聞かされた記憶はない。

 

 子供の頃、夏休みの朝はあの声で起こされた。窓は開け放たれたまま朝を迎えるので、耳元で鳴かれているのと同じことである。あの騒々しい声を聞くと、わーまた暑い一日が始まると実感させられたものだ。いまでは、関東でもそこそこうるさくなってきたが、あの頃の騒々しさに比べればまだまだ静かなものだ。

 

 この地域でも、あれだけ賑やかだったクマゼミの声が、いまではまったく聞かれなくなった。代わって、朝晩冷気が漂うようになってきたこの時期、ミンミンゼミが主役を務めるようになっている。ただ、クマゼミもミンミンゼミも、激しく鳴くのは午前中だけ、午後にはアブラゼミが主にその役割を担っている。

 

 セミの鳴き声は、夏の前半に登場するもの、中ごろ活躍するもの、そして後半にその名残を惜しむものと、種類によって大きく異なっている。また、朝のうちや午前中に頑張るもの、午後から夕方にかけて活躍するものにも分けられる。

 

 セミの鳴き声は、時期と時間を分けて、さらには活動する地域も分担しながら、日本の夏を賑やかにもり立ててくれている。