ゴキブリとヤモリ

[風を感じ、ときを想う日記](917)9/5

ゴキブリとヤモリ

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 梅雨が明けた頃だった。夕食を済ませてリビングルームでくつろいでいると、ゴキブリが1匹、目の前を悠然と横切っていった。反射的に新聞を丸めて叩いた。見事に一発で仕留めた。家では、もう10年以上も見かけることはなかったのに、どこから入ってきたのだろう。ゴキブリは、1匹見かけると10匹はいるはずだ、といわれている。こうなったら、徹底的に撲滅しなければならない。

 前回見かけたときに買ったゴキブリ捕獲器が、1つ使っただけでそっくり残っているはずだ。役に立つかどうか判らないが、とにかくすぐ仕掛けておこう。物置の奥から探し出し、効果の程を念入りにチェックした。2日後、子供が1匹かかっていた。親子でわが家に侵入してきていたのだろうか。それにしても、2匹目がいたということは、問題は想像以上に深刻なのかもしれない。

 あれから3週間が経った。あの捕獲器には、それきり新しい訪問者は現われてきていない。そんなとき、台所の天井でヤモリの子供を見かけた。ちょっと気持ちが悪いが、害虫を食べ、家を守ってくれるというのでそっとしておいた。そういえば、ゴキブリを見かけなくなったのはヤモリのおかげかもしれない。

 あれからもう1カ月以上が経った。それでも、ゴキブリの気配はまったく感じられない。ヤモリの姿も見えなくなった。あの捕獲器はもう捨てよう。捕獲器を広げてみた。ヤモリの子供が1匹死んでいた。