昭和の日

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[風を感じ、ときを想う日記](162)4/30
昭和の日

 4月29日、いまも古い人にとっては天皇誕生日である。いまでも、あのときのまま、今年は昭和83年といったほうがピンとくる。

 あれからもう19年も経つというので、大切に保存してあった古い雑誌を取り出してみた。「アサヒグラフ1月25日号・緊急増刊・天皇陛下崩御・昭和の時代終わる」である。表紙には、昭和天皇がご健在のころの写真が大きく載っていた。なんと穏やかで、いい顔をされていることか。

 最近、巷は昭和レトロブームだという。いま思い返してみると、確かにいい時代であった。世界で、日本の存在感がもっとも大きかった時代である。人々は自信に満ちていた。みなが大きな希望をもっていた。

 しかしその一方、昭和の前半は国の存亡すら危うい時代もあった。多くの人が戦争の犠牲になり、生き残った人も住むところを失い飢えに苦しんだ。国土は荒廃し、価値観は180度変わった。昭和は63年間で、泰平の極みにあった“江戸三百年”の数倍の激動を経験した。

 昭和の繁栄は、多くの犠牲の上に成り立ったものである。昭和の希望は、荒廃の中から立ち上がった不死鳥の自信からくるものである。

 昨夜のNHK歌謡番組は、昭和を懐かしむのがテーマであった。しかし、後ろばかり向いていたのでは前には進めないのではなかろうか。